タラモサラダ__2_

連載『オスカルな女たち』

《 やさしくなれない 》・・・19

「ぇ、花束持って登場したの? それは羨ましいかも…」
 口元に手を当てるつかさ。
「私もあれには面食らったわ。普段の無骨さ加減から、そんな要素微塵も感じられなかったから」
 目じりをあげて答える玲(あきら)。

「あたしとは違うなぁって思った。もちろん、ふたりとは事情も違うし、気持ちの上でもまったく及ばないんだけどね。…あんなふうに、自分は無条件で相手を信じていられたのか、自信がなくなった…」
「あのふたりは今どきの夫婦とは違うから」
 そもそも恋愛体質が古臭いのだ…と、玲がフォローするも、
「でも、好きあって結婚したことには変わりないでしょう?」
 語気を変えずに答える織瀬。
「それでいたずら電話かけたの? あたしたちじゃなく、真田くんに?」
「うん。なんとなく、八つ当たりした」
「八つ当たり…」
「彼のこと、スキなの?」
「…多分。嫌いではない」
 とてもここで「好きだ」とまでは言えない織瀬。実際にそれがどういう感情なのかも解らなかった。仕事仲間としての信頼やこれまでの付き合いを振り返り、知人としての行為なのか、恋愛の対象とみているのか、自分の置かれている現状から逃げているだけなのかもしれないとも思えるのだ。

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです