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連載『オスカルな女たち』

《 まったくありえない 》・・・17

「それでわざわざ来てくれたの?」
「それだけじゃないけれど…」
 玲(あきら)はつかさを思いやり、あくまでも「ついで」なのだと匂わせた。
「うん。ありがとね」
 それはつかさにも充分伝わっていた。
「やっぱり…うまくはいかなかった?」
 申し訳なさそうな顔をする。
「そうじゃないの。その説はありがとう。玲のおかげで今ではいい飲み友達だよ」
 心配しないで…とつかさは小さく微笑んだ。
「あら、よかった」
 それには玲もほっとしたようだった。
「うん。お互い、両思いだった…」
 あっけらかんと言い放つ。
「でも…?」
「でも、別に。それだけ」
「それだけ?」
「うん。あたしたちの関係はこれまでと変わらないってこと。それは恋愛感情や肉体関係じゃなくても成立するのかなって、」
「友だちってこと?」
「うん。それ以上、かな。結局あたしもどうしたいのか解らなかったし、このままがいいかなって結論。圭ちゃんの秘密を知ったからって、これまでの圭ちゃんが変わるわけじゃないし、同士って感じ? それは圭ちゃんも同じみたい。もともとそういうことを求めていたわけじゃないし、初恋は…きれいなまま思い出として。今は、同じ記憶を持つ仲間って感じかな?」
 つかさは小首をかしげ、うまく言えないけど…と付け加えた。

初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)

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