チューリップピンク2

連載『オスカルな女たち』

《 守秘義務 》・・・6

「駐車場の奥のおうち…。仲悪いんでしょうかね…? 昨夜もやっぱり、上と下の電気がついてました…」
 考え込むようにして天井を仰ぐ楓。
「楓ちゃん…」
 また?…たしなめるようにして首をかしげる真実(まこと)。
「なにかあってからでは…」
「解ってます、解ってます、…でも」
 カルテで顔を隠しながら、おずおずと真実の方へ歩み寄る。
「気になっちゃうのね…」
「そうなんです…」
 デスクの上にカルテをのせる。
「どうでもよくない? ひとんちの事情」
「そうなんですけど…。自分が満たされてないと、他人の様子が気になるものですよ」
 こちらも負けないくらいの溜め息で返す。
「満たされてないの?」
 意外…と、顔を窺う。
「だって…。真実先生、最近冷たいじゃないですか。心ここにあらずって感じで…」
「はぁ…?」
(原因はあたし、か…?)
「はぁ?…じゃないです! 最近の真実先生は、なんていうか…仕事熱心です」
 そう言って恨めしそうな目で真実を見遣る。

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