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連載『オスカルな女たち』

《 そうするための… 》・・・7

「おや、今日は早いね」
「操(みさお)先生…」
「特患さまは今日も機嫌かい?」
「はい。疲れさせてもいけないと思いまして…」
 そう言って織瀬(おりせ)は操に会釈した。
「疲れるようなことしてないと思うがね」
 少々呆れ気味に〈ファミリールーム〉に目を配る。
「それでも、一日中お邪魔してるわけにもいかないので」
 そう言って織瀬は笑った。
「笑えるようになったんだねぇ」
 独り言のような操の言葉に「そういえば…」と、改めて思う織瀬。自分でも気づけないほどに、自分のことが見えていないようだ。
「ちょっと、時間あるかい?」
「はい…」
 なんの話か…というより、呼び止められたことは織瀬にとっても好都合だった。
 普段は〈マタニティ教室〉や〈母児同室指導〉などに使われている談話室に入ったふたりは、室内に設置されている座椅子に向かい合わせで座った。
「体の調子はどうなんだい? 今は昔ほど大変な手術でもなくなったから、回復も早いだろうけど」
「はい、おかげさまで。傷みもなく順調です」
 聞かれるまま静かに答える織瀬。
「それはよかった。これから寒くなるから、体を冷やさないようにね」
「確かに。腰のあたりに冷えを感じます」
 言いながら腰に手を当てる。
「そうだろう。いくら回復が早いと言っても手術は手術だからね、あとあと響いてくるから。労りなよ」
「はい。ありがとうございます」

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