窓

連載『オスカルな女たち』

《 内緒話と捨て台詞 》・・・7

「ホントにありがとう。こんな日が来るなんて、夢みたいだよ」
 つかさは「感無量」といった面持ちで心からの感謝を述べた。
「でもすごいね、つかさ。お店の中もすっごく素敵」
 この日引っ越し依頼初めて訪れた織瀬(おりせ)が、ついて早々店内で歓喜したことを思い返す。
「おりちゃんも。あらためて、退院おめでとう」
 つかさは小さく織瀬のグラスに自分のグラスを重ねた。
「ありがとう。その節はいろいろとご面倒かけました」
 織瀬は恭しく頭を下げた。
「本当よ! マコから『アパート用意しろ』って電話を受けた時は、夜逃げかと思って驚いたんだから…」
「あはは…。そうだよね、玲(あきら)にも心配かけたね」
「そんなことはいいけれど…。織瀬もマコに感化されて無茶しないで…」
「うん。ふたりとも、ホントいろいろ煩わせちゃって…」
 そう、苦笑いする織瀬に、
「おりちゃん。そんなことはお茶の子さいさいなんだよ。おりちゃんこそ、そうやっていつも気を遣わないで。もっとあたしたちを頼って」
 少し怒ったように告げるつかさ。
「…うん。ありがと。これからは遠慮しないね」
「お茶の子さいさいね…」

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