連載『オスカルな女たち』
《 孤独な闘い 》・・・9
「まことかー!」
「はい、思い出しました?」
満面の笑みをたたえる〈高遠麻琴(たかとおまこと)〉、因縁の「まこと」つながり。
「なんでここにいる」
「だから、里帰り出産です。ぜひ真実(まこと)ちゃんのところで、と」
「そうじゃないだろ…」
お腹を見る。
「やーだ。佑介の子じゃないよ」
キャラキャラと笑って見せる。
「いや、解ってるけど」
そうだ、この女は、佑介と、
(何番目だっけ…?)
数年前の何度目かの元夫の浮気相手で、真実とは彼女が幼少期の一時、戸籍上で姉妹だったことのあるもうひとりの、いや吉澤家の『まこと』だ。
「や―っと気づいてくれましたぁ?」
「気づくわけないだろ。むしろスルーしてほしかった」
「なんでよー? わたし大人になったでしょう?」
「あ? まぁ、確かに…。髪、黒いし」
一緒に住んでいた当時はまだ幼子だった麻琴。養子縁組が決まったあとは会っていないが、次に顔を合わせたときは佑介に補導され家出少女となっていた。その時彼女は、髪も服も持ち物もすべてが赤で統一されていた。
今は・・・・、
(黄色?)
服装がまぶしい。
「そこぉ?」
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです