連載『オスカルな女たち』
《 イヴの憂鬱 》・・・8
「どうするの?」
「考えておいてくださいね…って、言われたんだけど…。考えたところでどうなの?」
自分のことなのに他人事のように質問で返す織瀬(おりせ)。
「どうって?」
「行くべき?」
「…! 行くの?」
それも爆弾発言だな、と目を見張るつかさ。
「わかんないけど…」
「揺れてるわけか…」
再び水を口にして、グラスが空になっていることを知る。
「こんなにお店で水を飲んだことはない…」などと思いながら店員を呼ぶつかさ。
「お水もらえます?」
笑顔で返してすぐさま織瀬に目を戻した。
「それって…あたしが、よそに目を向けろって言ったから?」
多少なりとも責任を感じているつかさだが、はたして、他人の他愛ない言葉だけでこうも人は揺れるものなのかとも考えていた。
それに対し織瀬は、気まずいような仕草をして見せ、
「それだけじゃないんだけど…」
口ごもり、それ以上はなにも言わなかった。
しばらく考え込んでいたつかさは、
「ね、今夜、行ってみない?」
そう織瀬に提案した。
「どこに?」
不思議顔の織瀬だが、嫌な予感が否めない。
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