着物__2_

連載『オスカルな女たち』

《 女子会 》・・・10


「よくもまぁひとりの人を追っかけたものね…」
自身には考えられない…とサクサクと船盛の彩を変えていく遥。
「そんなこと言われましても…ワタクシ…」
ますます顔を赤らめ、声が小さくなっていく明日香。

明日香の実家は老舗の和菓子屋だった。 
桜子のように親が外資系だったり、仕事の拠点が海外としていれば、少なからずそれ相応の社交界デビューも辞さないもの。

海外に行けば挨拶程度のキスやハグは当たり前、むしろそういう挨拶を器用にこなせてこそのご令嬢。自分たちの方が経験豊富なこともある。

「だってお兄様42でしょ…減退する人もいるんじゃ、ないの…?」
世間一般がどうなのかは知る由もないが、そうなくもない話だろう。現にもっと若い織瀬(おりせ)の夫もそのカテゴリー内の人種らしいと聞き及んだばかりだ。

「そんな玲(あきら)さん。玲さんの旦那様は、そうじゃないから赤ちゃんだっておできになったのでしょう?」
(またか…)

ここで第2の思春期が発動するのかと、玲はエステでの噂話を思い出す。

これが「時に周りから見たら奇行な行動…」に移る前の段階…というわけなのかと、ひとり納得して明日香を見る。
(ま、明日香が浮気に走ることはないでしょうけど…)

「もうひとり子どもが欲しいとか? 女の子…とか」
明日香には息子がふたりいる。
「そういうわけじゃありませんけど…」

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです