連載『オスカルな女たち』

《新しい風》・・・４

「いやぁ、懐かしいなぁ…。なん年ぶりよ」
「え～そんなのもう、覚えてないよ…」
　口元を抑えて笑顔を隠す。
（…嘘。１４年ぶりだよ）

「１０年、くらいか…懐かしいなぁ…」
　つかさが結婚退社をして以来ずっと会っていない。
（…そうだよね、覚えてないよね）
「ホント、お互い老けたね…」
（…こんなところで会うなんて…！）

「全然変わってないよ、相変わらず。…スキのない女だな」
「なによ、それ」
（口の悪さも変わらない…）
「誉め言葉だよ」
（嘘みたい…！）
　髪を切って、新しい風が吹いてきたような気がした。

「圭ちゃん、も、仕事？」
　無意識に髪に手が行く。
「あぁ、相変わらずパシられてんの、オレ。…これから営業先だからさ。近いうち顔出すわ…」
　進行方向に足先を向けながら、軽く片手をかざした。
（圭ちゃん、笑顔も変わらない…）
「え？　うん…」
　つられてこちらも右手をかざす。