連載『オスカルな女たち』
《 トレース 》・・・17
「いますよ、彼女。…彼氏もいますけどね」
京谷はさらりとすごいことを言う。
「え!?」
「僕、バイセクシャルなんで…」
シェーカーを振りながら照れ笑いをする。
「へぇ…」
ちょっと言葉が出ない。一瞬、その彼氏は圭ちゃん?…と浮かぶつかさだったが、先日「ちがいます」と言っていたことを思い出す。
「ただものじゃないと思ってたけど…。この雰囲気に騙されそうだよ」
そういってつかさが織瀬を見ると、
「でも、なんだか…どっちもありそうだね」
意外に織瀬はすんなりと受け入れたようだった。だがすぐに「やっぱり、雰囲気に騙されてる?」と言って笑った。
「ホワイトレディです」
織瀬の前に白い雪のようなカクテルが差し出される。
「ありがとうございます」
「でも、騙されるよね?…ひゃ~来るたび驚かされる。てか京谷さん、お歳はいくつなの?」
まったく想像ができない…とつかさが問う。
「それはナイショです。…でも、そんなに若くもないです」
「え~全然想像つかない。なんだかいろいろ謎だわ~」
だがつかさは、圭慈がここに通ってくる意味が解ったような気がした。
「じゃ、乾杯しましょうか…」
「は~い」
3人はそれぞれのグラスを持ち上げ、
「お肉もケーキも準備しましたからね、明日のことは考えずに楽しんでください」
京谷の言葉に顔を見合わせ、満面の笑みで答えた。
メリークリスマス!
その夜は結局、話したいことはそっちのけで楽しい時間を過ごした。
初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)
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