ドリンク

連載『オスカルな女たち』

《 打ち明け話 》・・・2

 夫婦だから遠慮はいらない…?
 だが、初めから「ない」ことをどう改善すればよかったのか。懇願しなければいけないことだったのか、自分が拒絶してしまっていたのか、それとも知らずに拒絶されるようななにかがふたりの間に起こっていたのか…だが、10年もやり過ごしてしまった今では、なにを追及すべきかさえ解らなくなっていた。
 意を決し立ち向かった結婚記念日の告白は失敗に終わった。だが、それは一方的なもので「なんの答えも得られない」という結果だけを残し、決して納得のいくものではなかった。体の不調を除けばあるいは、この先「話し合い」でどうにかなったのかもしれない。しかし ・・・・  
 相変わらず書斎の扉は閉じられたまま、織瀬(おりせ)の心のドアをノックすることはなかった。

 そんなある日曜の晩、シャワー後いつものように愛犬〈ちょきん〉とまったりとした時間を過ごそうとリビングに入りドアを閉めた時だった。
「…今日、ちょきご飯食べた? カリカリがあちこち散乱してたけど」
 足の裏を確認しながら夫の幸(ゆき)が追いかけるようにしてリビングに入ってきた。
「ごはん…? 食べた、と思うけど…?」
 会話が少なくなっても話題に事欠かないのは、絶対にちょきんのおかげだと思う織瀬。だが、一抹の不安がよぎる。


いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです