窓

連載『オスカルな女たち』

《 内緒話と捨て台詞 》・・・2

「あぁそれね、継(つぐ)がキッチンカーで使ってた業務用のマシン。まだ使えるのに、いくつか処分するっていうから譲ってもらったの」
「なるほど、賢いね…」
「でしょ? 予算はなるべく抑えたいから」
 ちゃっかりしてるでしょ…と舌を出すつかさ。
「ぅぅん、しっかりしてる…! お金は? とらないの?」
「うん。利用するお客さんとか、高額な商品には無料チケットをつけるようにして、お代わりとか、カフェ目的の人からは少しいただこうかなと思ってる。まだどのくらい利用されるかも読めないし…」
 そう言ってつかさは少し考える仕草をしてみせる。
「そうね。カフェ目的で入ってくる人はいないとは思うけど、この辺本当になにもないから、なんとも言えないわね」
 と、玲(あきら)も同意する。
「でもね、住んでみて解ったんだけど…この辺、わりと犬の散歩してる人が多いのよ。河原とかに出るとね『なにができるのかしら?』って、結構聞かれて。ご近所様には充分な宣伝ができた気がする」
「散歩しながら宣伝してたんだ」
 抜け目ないね…と、織瀬(おりせ)はいたずらっぽく笑って見せた。
「ま、ね。だから、お散歩グッズを豊富に取り揃えてみました」
 そう言ってつかさは河川の方を見ては拝み、ふふ…っと微笑んだ。
「商売上手ね…」
 これまで自分の店を持つことに関しまったく興味を示さなかったつかさに、サロン経営はどんなものかと心配していた玲だったが、店舗改装の話を重ねるうち意外にも積極的な姿勢が窺え都度感心していた。

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