チューリップ紫

連載『オスカルな女たち』

《 真実を語る 》・・・2

「真実(まこと)先生も。如月さんとご一緒とは…意外でしたけれど」
 いろいろ考えをめぐらす頭に水をかけるような濃子の含み笑い。
(知ってて言ってやがる…)
「あぁ、同級生…なんで」
 同級生…と言ってしまって、違和感を覚える。事実ではあるが、他に言いようがない。
「そう…。わたしはてっきり」
(てっきり? なんだっていうんだ…?)
「暇に飽かせて夜の街を散歩してたところを、無理やり連れていかれたんですよ」
 聞かれもしないことを自分から、なにやら言い訳しているようで落ち着かないが、とにかく誤解されたくなかった。
「そんな。ムキにならなくても…ふふ…」
「べつに…ムキになんかなってませんよ」
 言っているそれこそが墓穴を掘っているとは気づかない。
「よくいかれるんですか? あぁいった…」
 あぁいった集まりに…そう言おうとして語弊があるかと口を閉じる。
「アンドレ会のこと?」
 含み笑いをしながら、意味深な視線をくれる。
(通称なんだ、それは)
「そう、ですね。はじめて知りましたけど…」
 あくまでも「初めて」を強調する真実。
 決して常連だとは思われたくない。

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