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ハーフマラソンに参加して思うこと

しばらく参加していなかったロードレースへの参加。運よく抽選に当たったこともあり世田谷246ハーフマラソンに参加しました。
ただハーフマラソンを全力で走るには身体に対して気持ちが追いついておらず、今回は気の向くままに走ることにしました。

駒沢公園陸上競技場のスタート地点に並ぶと200m近い参加者の列が続きます。
記録を追うわけでも、何かプレッシャーがかかるわけでもないのに少しの緊張感と高揚感が湧いてきました。
それぞれの目標に違いはあれ、全員がまたこの場所へ、ゴール地点へ向けて21.0975kmを走り抜ける共通の目的があり、自分もその一員であることを自覚した瞬間だったのかもしれません。トラックでの競技会とはまた違ったマラソン大会の良さでもあると思います。

いざスタートをして程なくすると自分のリズムに従って走ります。
最初の1kmは4分10秒。
一定のリズムで走っていると、前方から少しスタートで力が入ってしまったのか、早くも苦しそうにペースが落ちていくランナーもいれば、逆に後方からリズムに乗ってきたのか徐々にペースを上げていくランナーの方々も。
気づかないうちに周りに感化されたのか、それとも最初は比較的下り坂ということもあったのか、私のペースも次第に上がっていたようで5kmの通過は19分30秒。

この辺りに来ると大きな集団も崩れ始め、数人のグループができ、単独走になるランナーも増えてきます。流れの中で近くにいるランナー同士、横並び、または縦並びができ、言葉をかけるわけでもないですが、知らない他人同士が自然とリズムを合わせて走るマラソン大会特有の光景。
私も数人の集団にのり、時には前に出て、時には後ろについて、そして横並びで走ることも。気づけば10km。この5kmは18分40秒とまたペースが上がっていました。
ここまでくるとペースが上がっていることも自覚します。少し余裕度も少なくなっていきます。タイムを追うわけでもないので、ペースを意図的に落として楽をしても別に構わない状況ですが、背後には少し息が上がり、私のリズムを利用して必死にペースを維持しようとする数人のランナー達が。

周りのランナー達にあって私に足りないもの。それは苦しさと、自分自身の現状と向き合うこと。
とにかく苦しめば良いというわけではなく、自分の身体が対応できるペース、しかし出来ることならすぐにでも辞めたい、現実逃避したい苦しさ。
このレベルに達した時、自分自身と今としっかり向き合って走らなければいけません。
変と思われることでしょうが、出来ることなら苦しみたくなどないのに、いつの間にかその領域に足を踏み入れたいと思う自分がいました。

少しペースを上げ、一緒に走っていたランナー達を突き放すと、次第に不快な苦しさを感じ始めます。1kmで言うと3'40を少し切ったくらいでしょうか。すると自分の中で「もっと練習していればこのペースなんて苦しくないのにな」、「学生の頃は余裕で走れたペースなのに」などいろんな思考がよぎってきます。

どうやら人間は不快感を覚えるとどうにかして現実から目を逸らし、理想を思い描き、今に目を向けようとしないようです。退屈だなと思えばスマホに手が伸びる、何かが難しいなと思えば、魔法のような解決策を探し出し、今が嫌だなと思えば過去にしがみつく。世の中にはちょっとした不快をすぐに紛らわしてくれるものがありすぎて、不快のその先に進もうとしない人たちが増えてるようです。

そして私もその1人で、苦しさが始まった瞬間に理想の状態の自分、過去に一番走れていた時の自分にしがみつこうとしていました。
今、目の前の課題に理想の自分で挑もうなどど起こりえない幻想は不快を突き進むあるポイントで諦めざるをえません。これが今の自分。今の自分の力を現実を受け入れて不快と向き合った時、本当の自分のレースがスタートしました。

理想を諦め、現実と向き合い始めた時にその人の内面に変化が起きるようです。


It takes courage to accept where you are now, to resist trying to force yourself back to what you once were.

こちらの記事のライターは
「過去の自分にすがることをやめ、今の自分を受け入れることには勇気がいる。
いずれは誰もが自分の自己ベストから遠ざかっていく。山を登れば降るのと同じように。でもそれは何も問題ではない」と言います。

学生を指導していて気付くのは練習の基準を今の自分に合わせていないこと。
高校の時、ベストを出した時、無意識にしても良かった時の自分が付き纏い、今の自分を受け入れていない、今の自分に合っていない練習をすることが一番うまくいかない理由だと思います。

こちらでも書きましたが、故障をした時も同じだと思います。

タイムは1時間19分5秒と自己ワーストの記録です。
最後の5kmは足も重くなり苦しくなりましたが、しっかり現状と向き合えた時間でした。

遅くなったらなったでも構わない。自分の思ったような力、状態じゃなくても構わない。
まずは今の自分をしっかり受け入れてあげること。
そうすることでタイムが落ちようがなんだろうが、レースは楽しくなる。そんなことを気づけたハーフマラソンでした。

日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。