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対話と学び

「力の伝え方が分かってきました。今度の補強はいつですか?」

ここ最近、意欲的に走る以外のトレーニングに取り組む学生が増えてきているのを実感しています。
先月より数名の学生と共にストレングストレーニングを開始したことがきっかけでした。
私の個人的な身体の使い方への興味から始まった今回の取り組み。というのも大学でのコーチングを始めてからどちらかというと故障した生徒と向き合う機会が多かったこと、私自身も学生時代故障が多かったこと、そしてオーストラリア滞在時に練習に同行していた選手のジムトレーニングを見たことが、もっと深く自分の身体と向き合うことの大切さを学ぶ機会となりました。

まずは本を買い、セミナーに参加し、少しずつ身体の仕組みを学んでいきました。
今年になりR-bodyさんにてProコースを受講しながら実践の経験を積ませていただいてます。
知識が増え、より幅広く指導ができることは嬉しいことですが、何よりも少しずつ新しいことを学んで、上達していくというのは非常に楽しいものだと思いました。
できない動作を学んで、悪い癖を直し、より優れた動きを少しずつ身につけていく。その過程で自分の身体の状況がどんなものなのかを理解していくことは非常に面白く、補強といったランニング以外の練習を何となくやっていた生徒たちも意欲的になっていく姿を見る瞬間は本当に嬉しいものです。
今やっていることが自分の目標達成にどう繋がるのかを認識できた時、人の意欲は増していくのだと思います。

スクワットの理論、動作を学ぶ最中に読んだ本の中で「スクワットは身体と地面の重力を通したやりとり」といった言葉がありました。
重力に対し身体を適切な姿勢に保ち、正しく力を地面に伝える。このやりとりが正しく行われた時、それが大きな力となって重力を乗り越えていくのだと思います。つまり身体と地面の対話が適切に行われることが重要です。

ランニングはまさに重力との戦いです。一歩、一歩、自分の身体から地面に力が伝わり、その力が地面から跳ね返って重力に打ち勝ち身体を前へと運びます。
この身体、地面間のやりとり、つまり対話にズレが生じると効率よく進めない、ある部位への過負荷で故障に繋がるなど問題が起きてきます。
これは実際の会話でも同じことです。聞いたことに対して、的外れな返答が返って来れば適切な意思疎通ができてるとは言えません。そしてこんな会話が続けばいい関係性を築くのも難しいでしょう。
選手、コーチ間で正しい対話ができてなければ、そして対話から相手の事を学ぶことができなければ良質なトレーニングを続けていくのも難しいと思います。

あるサーフィンコーチの言葉に「動作をうまくできた、とそこから何かを学んだは違う」というものがありました。
ランニングもスクワットでも一緒のことで、何メートルを何秒で何本走れた、何kgを何回挙げれた、それとその練習から学んだは別物です。

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補強からランニングに繋がる、自分の身体をより良くすることを学ぶこと。どんな練習でもそこが自分にとっての学びの場となった時、それは自分の楽しみの場へとなったのだと思います。

「走ってる時に力が地面に伝わってる感じが分かります。お尻が使えてるのが分かります」
こういった言葉が聞けるようになってきました。

以前はとにかく学んだことを伝えないといけない、いわば自分が何かを伝える場、そんな思いで練習に行くことが多かったです。しかし、何かを伝えると相手からの質問があり、そこからまた分からないことが見えてくる。
トレーニングを通した生徒との対話の場、お互いの学びの場となっているような気がします。
だから私自身も練習に行くのが楽しみです。

「それやって何になるの?お金になるの?」
読んでる本のこと、コンディショニングのコースを受講したことを知人に伝えた時に言われた言葉でした。特に嫌味でも、悪気があったわけでもないと思います。
どうやら人が大人になって学ばなくなる1番の理由に「それを学んで何が得られるの」にあるようです。すぐに目に見えた成果がはっきりと得られるか分からないものに労力をかけることを自然と避けるようになっているのかも知れません。

Beginnersの著者は「学ぶことの1番の楽しさは、何かを得ることではなく、学びを通して自分は上達できるを学ぶ」のだと言います。
これは私自身、身をもって感じています。
そして誰かと一緒に学ぶはまさに関係性を深める格好の場です。

みんなにとって部活動の場が学びの場と感じれるようになることで競技を続けたいと思う生徒が増えることに繋がるのではないのでしょうか。



日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。