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コーチングからの学び⑩〜コントロール感覚と自信

人は生きる中でコントロール出来ること、出来ないことが存在します。客観的に自分を知り、コントロール感を得て自信を高めることが日々のパフォーマンスの向上への鍵となります。

「騒音ストレス実験」というものがあります。被験者は3つのグループに分けられ簡単な事務作業を行います。一つのグループにはヘッドフォンを装着してもらいそこから作業中に不定期に爆音がなります。残りのは「普通に事務作業だけをやるグループ」、「事前に爆音が鳴るタイミングを知らされ不快ならば音を消すことができるボタンを与えられたグループ」があります。この事務作業の後に別のタスクを用意しこの爆音がその後のパフォーマンスにどう影響するかを調べるのがテーマとなっています。すると爆音を聞いたグループは爆音が流れた後、最初は自律神経の乱れが見られたようですが短時間で適応したそうです。しかしここでエネルギーを使ったことによりその後のタスクで爆音を聞かされなかったグループと比較してミスや他者への敵意が見られたそうです。それでは事前に爆音のタイミングを知らされたグループはどうだったかというと、ノイズへの適応、ストレスはランダムに聞かされたグループに比べ低く測定されたそうです。ここで重要になってくるのは爆音をコントロール出来るという、コンロール感です。このコントロール感を持つこと、すなわち、騒音という問題が出てきてもこのボタンでいつでも対応できるという感覚を持つことでストレスを軽減させ、その後のタスクでも苛立ちや敵意を表すことが少なくなったそうです。

レースでペース変動によりストレスを受け失速していく選手は少なくありません。その一方でよく主導権を握りレースをコントロールしていると思われる選手もいます。実際にレース中に他人をコントロールすることはできませんが、こういった選手たちは誰がペースを上げてきてもこの、いつでも対応できるという感覚があり自信を持つことですぐに順応し余計なストレスを軽減させているのではないでしょうか。

ただ気をつけなけらばならないのはコントロール出来る、いつでも対応できると思っていたことが実際そうではなかった時、人はさらなるストレスを受けると言われています。自信を持つことは大事ですが、時にはそれが過剰な自信となりオーバーペースを引き起こしたりと負の方面へ働く時もあります。そうすることでコントロールの感覚を失い、自信の喪失へ繋がってしまう危険性もあります。このコントロールの感覚喪失を防ぐことも大事なことです。

これは指導する中でもすごい重要なことだと思っています。対応できると思っていた練習が故障や体調不良など予想外のことでできない時もあります。身体の問題を自由にコントロールすることはできませんが、そんな時に予定の練習を翌日または別日にスライドさせるいう練習のスケジュールはコントロールできるという感覚は持つことができます。この練習をは今日やらないといけないと思い、無理にやろうとする生徒が見受けられます。それが結果として状況を悪化させしまいます。指導する側が選手へ状態に応じて練習予定をコントロール出来るという感覚を持たせてあげるのも大事ではないかと思います。

選手が客観的に自分を見つめること、コーチ、第三者が意見やアドバイスを送ることで今の自分には何がコントロールできて、何ができないのかをより明確にしていくことが必要ではないでしょうか。

自分のコントロール感覚を幻想的ではなく、現実的なものに近づけることで自信を高め、より良いパフォーマンスを発揮することが可能だと思います。

日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。