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トレーニングと生活の調和

「トップ選手がやっているトレーニング」

このような表現を広告に用いられることはよくあります。

一つの何か印象的な練習、食事法とその人の優れたパフォーマンスを一対一の関係で結びつけるように表現することで、「これさえやればいい、ここに秘密がある」という誤った解釈につながることがあります。

トレーニングによる身体の怪我についても同じですが、怪我をした時にフォームの悪さを指摘され改善に取り組む人も少なくありません。

怪我が少ない選手のフォームを切り取って「このような特徴があるから」と怪我の少なさとフォームの鮮麗さを一対一の関係性であるかのように伝えられることもあります。

そのため怪我の少ない選手、フォームの綺麗な選手(これに関してはかなり主観的なので綺麗の定義も難しいのですが)の動きづくりやドリルをやれば怪我が少なくなると考えてしまいがちです。


もちろんこれらの取り組みが関係ないわけではありませんが、現在の結果(今の走力や身体の状態)に関与するのは多々あり、どれか一つの練習を切り取って説明することはできないと思っています。


実業団、学生、一般ランナーの指導を行なっていても深く関わるほど進歩に関与する要素は多いことを感じます。

この選手の動きは怪我しそうだなと思っても豊富な練習を問題なく継続できていることもあれば、いい動きだなと思っても怪我が多発する選手もいます。

怪我の少ない選手にある傾向を見つけて、このおかげかと思うこともあります。しかし別の怪我の多い選手にも共通の傾向がある場合があります。

(Knee-in toe-out ニーイン トーアウト)と言われる膝が内側、つま先が外を向いた状態があります。過剰な捻れのストレスが加わり、膝、足首への負担が増加することから怪我をしやすいと言われます。

確かにこの傾向があり、典型的に怪我につながるパターンの人もいます。しかし同じ傾向があるにも関わらず全く怪我をしないパターンの人もいます。


ランニング練習でも大学や実業団選手は同じような生活パターンで同じような練習メニューを行なっています。それでもフォームやタイムの伸び、怪我の発生率は異なります。

大成した選手の例に挙げられるいくつかの要素はケガなどでうまくいかなかった選手にも見られることはよくあります。(後者の例は表には出てこない)


タイムの速さに関わらず、長期で練習を継続してパフォーマンスを向上させれるかどうかで忘れられがちなのは、その人の人間関係は良好か、トレーニング以外の時間が充実しているか、これらが大きく関わることです。

もちろん体力をつけるにはトレーニングを積むしかありません。

人間関係が悪く、日々のストレスが多い人とそうでない人でも、前者はトレーニングをしていて後者はしていないなら前者の方が体力は向上するでしょう。
ただ体力が上がるほどにそこから体力を引き上げるにはよりトレーニングが必要になります。

豊富なトレーニング量を支えるにはそれ以外の時間、過ごし方が大切で生活とトレーニングの調和が重要になります。トレーニングと生活の調和、自身の生活にトレーニングを取り入れることを楽しめるかどうか、この点は「何をやっているか」の切り取りからはわかりません。

うまく調和させるをどのように達成するかも色んなやり方があります。なのでこれをすればいいなどど安易な解決法はありません。

うまくいかない時に(伸び悩み、怪我を含め)「こうしたらどうだろう」という考えを持って練習に取り組み学ぶ試行錯誤の日々を楽しめるか、それとも「こうじゃないけない、この練習のせいだ」など固定の解決法にこだわるかどうかの違いのように感じます。トレーニングも生活も状況に応じて変動させることでうまく調和する。そのためには試行錯誤は欠かせないことだと思います。

一つのトレーニング要素を固定の意味で捉え、こうしないといけないという固定の考えを持ってしまうとことが生活との調和を妨げてしまいます。

パフォーマンス向上、怪我の予防、どちらにしても一点だけの要素を見て解決を試みないこと。

動きづくり、ストレッチ、筋トレ、リハビリ、これらも大切な要因の一つです。ただ何をやるかの種目以上にそれぞれの要素をどう調和させるかの方が大切です。

トレーニングメニュー一つ一つの調和、トレーニングスケジュールと生活の調和、これらを試行錯誤しながら調整していくしかありません。

もしうまくいっている人から学ぼうと思うなら、何をやっているかではなくどう考えてトレーニングに取り組んでいるのかを聞いてみる方がいいかもしれません。
またはどのような生活観を持っているか聞くのもいいかと思います。

ランニングだけでなく、何かを長期で上達するには同じことが言えると思います。

何かを通して自分に適切な生き方を学ぶとはこういったことかもしれないと思うこの頃です。

日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。