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急がば回れ〜走れる喜びを忘れないこと

シンガポール在住のモカタさん。
63歳ながら1500m,5000mを専門にして走る、マスターズランナーです。
そんな彼にとってのランニングの中心にあるものを常に喜びを感じることだと言います。

モロッコの小さな村で生まれた彼の幼少期は常にランニングと共にありました。トラックや練習プランに従って走るのではなく、走ることは常に生活の中にあったそうです。友達とかくれんぼをしたり、学校までは走って通ったりと活発に動き回りました。そんな生活は学生時代まで続き、彼自身の勉強を終えると大学教授としてのキャリアをスタート。

2年が経つとスペインに移住します。それからは仕事が多忙なため週末に1回だけランニングをする日々でした。
50歳になる頃には翻訳家として新しく仕事を始めます。それにより時間がより柔軟になり、ランニングの時間が確保できるようになったと言います。
ランナーである上司の1人にロードレースに誘われたことで初めてのレースに出場することになります。15kmのレースでしたが12kmを過ぎる頃には疲労困憊で走り続けることができず、歩いてしまったそうです。
しかしこのレースの経験により走る楽しさを改めて感じました。
そして週3回のランニングを開始します。

再び走り始め5年が経った頃にはランニングクラブへ参加。55歳で初めてトラックを使用して練習をしたことで1500m、5000mが自分に合ってると感じたそうです。
60歳になり現在住むシンガポールへ移住。ここでもランニングクラブに参加。今年63歳になり始めてコーチをつけて練習プランに沿ってランニングを行なったと言います。

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現在もランニングは週3回。
以下のプランが主な練習スケジュールのようです。
1. ショートインターバル走
2.ロングインターバル走
3.ロング走

もちろん記録の更新は目標の1つであるといますが、常に優先順位を決めているモカタさん。家族との時間が第一。心身共に健康であること、そして走る喜びを感じること。トラックでの練習をスキップしないといけなくても特に気にはしないそうです。週末のロング走でお寺や教会に走っていくことが好きで、その分このロング走がより楽しみになるそうです。

「No pain, No gain」と言われるフレーズはあまり好きでないというモカタさん。気分が乗らない時、体に異常を感じる時は無理はしないで休むことにしてるそうです。

「飼い主に連れられて走り出す犬や馬のような動き回ることにうずうずしているような気分で走りたい。たとえそれがレースでも走る喜びを感じれないと思った日は欠場します。好きなことで怪我や病気など体に問題がおこっては的違いで、何よりも健康あってこそ。No pain, No gainに囚われすぎて無理をし過ぎる人が多いため、私はこのフレーズがあまり好きではありません。現在は各メーカーが高価なシューズの宣伝に力を注ぎすぎています。限界はない、限界は自分が決める。成果が出ない時にこの言葉で惑わされ自身の意志の弱さのせいにしたり、自己嫌悪に陥り、体をいたわることを忘れ、さらに自らを追い込んでしまい、多くの人の燃え尽きや故障の原因になっているのも事実ではないでしょうか」

彼にとって体が馬のような存在で、自分の心が飼い主だと言います。

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12年前には甲状腺機能不全と診断され長時間走ることは難しいと言います。予定したトレーニングプラン通りに走れない時もあれば、自分が想像以上に快適に走れる日もあると言います。これにより現在は時計をつけて走ること、特定の日を決めた綿密な練習プランはやめることにして自身の体調に合わせて走るそうです。

「自身の身体を理解し焦らないで自分のペースで進むこと。痛みや異変は体からの問いかけです。その時に何に問題があるのかを考えなくてはいけません」

2022年に行われる世界マスターズ陸上選手権の出場を目指します。そこには80,90,そして100歳を超えても出場する人もいます。身体をいたわる大切さがあり、逆にそこを怠らなければ長く走り続けることが彼の心情のようです。

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最後にはこんなスペイン語のことわざを教えてくれました。
王様が着替えの時に召使いに伝える言葉だそうです。

「ゆっくり着せてくれ。急いでるんだから」

ランニングを通して自身の身体、自然そして他者との調和を大事にするモカタさん。今後どこまで長く走り続けるのかに注目です。



日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。