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Chapter.08 Spring

introduction
この記録は、友人のフジワラコトミとの
ルームシェア期間である2020年7月から、
解散する2022年7月までの2年間に、
わたし(タグチヒカリ)が記録した日記の一部を
再編集したものです。

illustration by Kotomi Fujiwara

【第8章 2022春のおわり】

2022.May

1.
栗林公園まで散歩した。茶室から自然をぼーっと眺めていたら、自分の現実世界のことなんてどうでもよくなった。今ここで生きている自分が現実なのだと実感した。

坂出に来てから4日目だが、もっと長くここにいる気がする。この町にも慣れて、朝早く起きてうどんを食べる生活をずっと長くやっているような気がする。毎日1日の体力を使い果たして、バタッと寝ることは、東京ではなかなか出来ていないことだなと気づく。

忘れられない旅。


8.
とっても素敵な笑い方をする人だった。
その笑顔を見ていたら
こちらまで幸せな気持ちになるような、
特別な空気を持つ人だと思った。
ずっと話を聞いていたかったし、
とにかく声がすごく好きだった。

12.
すべては水星逆行のせい

15.
元恋人に誕生日おめでとうと連絡をした。
あの頃と変わらないテンションの返事。
なんだかすっきりした。

17.
フジワラと、2018年くらいからを振り返っていたらなんかもう、その頃の自分は自分なのか分からないくらい時が経っている。その頃の自分と今の自分が地続きだなんて信じられない。

19.
今日、正式に7月末に会社を辞めることが決まった。これで本当にわたしはこの会社を卒業するんだな。先輩に報告したら、「あの頃を乗り越えたからここまで続けられたんだと思うよ!」と言われ、嬉しかった。

20.
やっと気になっている会社にポートフォリオを送った。一歩前進。少なくとも書類は通るだろう。


22.
「花とアリス」を観た。
もっと早く出会いたかった。
くやしいほど良かった。

書類選考通過の連絡が来た。
気になる人から連絡が来た。
着実に、変化が起きている。
急に進み出した感覚。明後日面接になった。
勢いづいた時に物事はどんどん進むんだろうな。

25.
快晴で気持ちの良い日に面接だった。

わたし自身に興味を持ってもらえたという実感があって嬉しかったし、自信にもなった。今日話して、より一層、この人たちの仲間になりたいという意識が強くなった。もうやりきったから、なるようになる自分の未来を見守るのみだね。転職もそうだし、恋愛もそうだけど、今の自分よりも上のステージにいる人たちと出会っている。これはきっと自分の身多く場所を1段階あげるときがいよいよ来たのだなと思う。自分のレベルを上げるためにもっと努力をしていかなければいけない。

30.
今までの価値観は、これからは通用しない。

31.
別れがあのタイミングじゃなかったら、
出会うことは出来なかったから、
そういう意味では感謝すべきことだね。

2022.June

2.
仕事終わりにフジワラとちょっと遠くのコンビニまで散歩して、アイスを買って公園でだべる。家でも散々話しているけど、場所を変えると違う話題になるから不思議だ。

4.
物事を深く考えたりこうして記録をし続けてしまうような自分のことを、「考えすぎだよ」じゃなくて、「そういう時そういう風に考えちゃうよね、分かるよ」とずっと誰かに言って欲しかったのだと気づく。
違うから魅力的に見えて惹かれることもあるけど、自分にとても似ているから惹かれているのかもしれない。

全員見返してやりたいという野望を聞いた。
その姿を見届けられる人生がもし私にあったら、どんなに良いだろう。
痛々しいほど頑張れる人を私は愛おしく思う。

6.
ずっとこのままではないのだろうということは心でも頭でも理解している。
この時間は永遠ではない。今たまたま混じり合ったけれど、離れていってしまう時もくるのかもしれない。

7.
やっとパンを焼いてみた。キャロットラペと生姜焼きを作って食べた。

物件探しに明け暮れているが、少しづつルームシェアが終わることを実感し出して寂しさがすごい。残りの時間でやりたいことはどれくらいできるかな。

8.
普通に平日朝から晩まで働きながら、転職活動をして物件を探して新しい恋愛をしている。自分の異常なバイタリティに感心する。今はまだ何も先が見えないけれど、すべて思い通りになっていくだろうなと直感はそう言っている。

大きな絵を描いた。
こうやって趣味で絵を描くような大人になるって思っていなかった。気づいたらこんな人生を選択している自分を誇りに思うよ。デザインを仕事にして、パンやお菓子を焼いて、植物を育てて、絵を描いたりする生活。

10.
別れた頃は復縁したくてたまらなかったのに、もし、そこに戻ったりしたら人生終わりだなと思えるまでになった。あの時別れることがなければ、いまの自分の立っている場所には来れなかったのだ思うと運命は本当になるようになっている。

12.
あの頃のことは本当に思い出の場所になってしまうのだな。わたしにいつかちゃんと好きな人ができて、恋人ができたら、フラットに「元気かい?」って会えたらいいな。そんな日がいつかまた来たらいいなと思う。

14.
今日は低気圧だからか満月だからか体調が悪い。
今日の満月はストロベリームーンというらしい。

突如大学時代の男友達から飲みのお誘いがきて嬉しい。5年ぶりかな。会いたかったけど自分からは誘えなかった人たちだったからすごく嬉しい。


あの日、わたしがどこの出口から出てくるかなんてわからなかったはずなのに、外に出た瞬間、目の前にいたこと、かなりすごいことだなと今更ふと思う。



17.
いつかは来るであろう遠い未来のことを考えると少なからず不安は生まれるし、友人たちがつかめる当たり前のようなものを自分は手に入れられないんじゃないかとか考えて落ち込んだりする。わかっている。そんな当たり前などこの世に存在していないことも、自分が手に入れられないと決まっているわけではないことも。それでも私は人並みの恋愛がしたいと思っている。なのにまたこのハイリスクな選択をするのかい?自分の人生があと3年なら、何も迷うことなくそのスリル満点な道を選べちゃうのになと思ったりする。


21.
1週間ずっとソワソワしてたけど、やっと採用の返信が来て、面接通った!なんとなく縁があるって感じてたけど、本当だった!今までの経験が全部無駄じゃなかったんだって自信持てる。自分がなりたい社会人像に近づいていきたいし、その努力が出来る人間になりたい。

29.
元恋人に「今まで出会ったことのない価値観や考え方だから魅力的だった」と最後に言われたことを思い出す。私は付き合っている間ずっと、価値観が合うって思っていたはずだったけれど、そもそも根本が違ったのだ。理解しようとせずとも、息をするように自然に理解できるということが本当に価値観が合うということだよなと今更当たり前のことに気づく。

つづく

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