見出し画像

シンプルだけど、それができない

日本製鉄の転生と言う本を読んだ。


現在USスチールへの買収を仕掛け、ニュースを騒がせているあの日本製鉄の改革物語である。

2019年4月に日本製鉄への社名変更とともに社長に着任した橋本氏(現会長)は、売上約6.2兆円(2018年度)を約8.0兆円(2022年度)へ、事業利益約3,400億円(2018年度)を約9,200億円へと成長させている。この間、国内需要は減少傾向にあり、グローバルでは中国台頭による過剰生産と価格低迷という環境の中にも関わらずの成長である。

具体的なところは、本書を読んで欲しいのだが、ポイントを簡単に列記すると、余剰な生産能力を整理し固定費を下げ(要するに廃炉)、高価値な製品シフトによる価格の適正化(値上げ)して利益を確保、そして、それらを通じて生み出したキャッシュを新しい設備(電炉)や新しい技術、そしてM&A(主に海外)へ投資すると言う、実にシンプルな打ち手である。

ただし、これらのことを日本製鉄規模でやるのは、当たり前だが容易ではない。

廃炉は雇用問題と密接に絡むし、値上げは顧客離れを起こしかねない。新しい設備や新しい技術、M&Aも物になるのかは分からないのが常だ。

とは言え、規模に関わらず、やるべきことはシンプルなのだ、と言うことに気づく。

そして、取り巻く環境が複雑であればあるほど、数字と理論が重要なのだと考えさせられる。

シンプルなんだけど、それができない。

この記事が参加している募集

今こんな気分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?