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超予測力 フィリップ・E・テトリック

珠玉のキーワードが、溢れるばかりです。

◼️自らの意見とは死守すべき宝ではなく、検証すべき仮説に過ぎない(積極的柔軟性)
事実が変われば意見を変える。多様な視点を大切にし、それを自らの視点に取り込む。可能性を多段階評価する。自分の思考に認知的、感情的バイアスが影響していないか確認する。システム2(※)を動員し、意識的思考によってシステム1(※)のもたらす無意識的かつ瞬間的な判断の過ちに気付く。

※1:システム1=我々が意識せずに反射的に判断する領域。自動的に働く知覚的、認識的領域。
※2:システム2=意識的思考の領域。

→信念には積極的柔軟性が必要であり、常に疑いの目を持ち、システム2によってアップデートしていくスタンスが必要だ。

◼️超予測力には、モノの考え方を見直し、自らを改善しようとする意識の強さが必要

◼️確実なことは何もない。現実はどこまでも複雑である

◼️理想的な意思決定集団とは、第3者を招き入れ、懐疑的姿勢を全員が持ち、担当分野だけでなく担当外の分野もジェネラリストとして意見を交わし合い、礼儀作法や上下関係は排除し、トップは議論に参加しない。つまりチームの積極的柔軟性が大事。

◼️想定外に備えよ

超予測力とは科学的に将来を予測していくための手法なんですが、なんとなく哲学の考え方とも似ていて面白い。

竹田青嗣先生曰く
「哲学」というのは「原理」を考える。この「原理」を説明するのはそう簡単ではないが、「原理」という考え方が「哲学」のまずもっとも重要なキーワード。自分の考え、自分の信念を「補強」するのではなくて、「自分の考えは他の人の考えとどこが違うのか」「何故違うのか」と考え、そのことを検証していこうとするような考え方。

→哲学でいう「直感」が「システム1」で、「直感」に対して「なぜ」と問いかけ、検証していく作業、つまり「システム2」が、哲学でいう原理を突き詰めていく作業(信念検証的思考)に似ているのです。

竹田青嗣先生曰く
「よいとは何か」という問いに導かれて、個別的な信念が、普遍的な共通了解に変わっていく、そういう時に人間の「知恵」が深くなるということで、それがプラトンの哲学の中心点。

→ここでも、哲学的な思考方法というか「人間の知恵が深くなる」作業は、集団の価値観の共通理解を進めていくという目的に沿っていえば、超予測力をもった人たちが共同作業で仮説を立てる思考方法と非常によく似ているのです。

自分の考え方を盲信せず、情報収集しつつ自分自身で検証し、かつ集団内の構成メンバーの意見をよく聞き、より説得力のある、お互いが納得性の高い価値観を見出していく手法は、哲学も超予測力も同じなんだなという事です。
#推薦図書

*写真:山梨県大月市 猿橋

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