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「読まずに死ねない哲学名著50冊」平原卓著 書評

<概要>
著者が選んだ古代から現代に至る哲学の名著50冊をピックアップして今の言葉で、わかりやすく解説した著作。ブログ風に数ページずつに分かれて1冊ずつ書かれているので分厚い本である一方、どこからでも読める辞書的な著作。

<コメント>
本書を読んでいて感じるのは、本書でも紹介されている、近代言語学の始祖ソシュールのいう「言葉は生き物」という概念。我々が一番理解しやすいのは一番新しい言葉(本書は2016年出版だからもう4年経ってしまっていますが)。

私たちは、今に生きる言語(=ことば)でコミュニケーションしている以上、今の言語以外の言語は翻訳が必要ではないかと感じています。外国語の場合は是非もなく翻訳が必要ですが、これは日本語であっても時代が違えば使っている環境も違うので、常に新しい言葉でのアップデート=翻訳が必要だという意味です。

本書の場合、著者自身の読解能力&説明能力のレベルの高さはもちろんですが、著者が最新(=より「今」に近い)の、今に生きる我々が今まさに使っている言葉で、哲学の古典を解説してくれるので、我々の頭にスッと入ってくるんだなと感じます。

我々は専門家でもないので原書を読むことはまずない(必要もない)し、ましてや翻訳本だってよっぽどその哲学者に興味がない限り読みません。私の場合、今プラトンの著作を通読中ですが、やはり大昔の日本語で翻訳された岩波文庫よりも、今の日本語で翻訳された光文社古典新約文庫の方が理解しやすいのは当然です。

ましてや解説本であれば尚更で、我々と同じ環境に住んでいる今の日本に住む日本の哲学専門家による著作ならでは、です。

なのでまずは「哲学書って何が書いてあるんだろう」と思えば本書で、興味のある哲学古典をつまみ食いすれば良い。そう思います。

◼️私の場合
私自身、哲学者で共感するのは「プラトン」「フッサール」「ニーチェ」「ハイデガーの一部」「竹田青嗣」ですが、本書を読む限り、これに「デカルト」「ヒューム」「ルソー」「ホッブズ」「ソシュール」「ヴィトゲンシュタイン」そして「ヘーゲル」を加えても良さそうです。

特に「ソシュール」と「ヴィトゲンシュタイン」は「本当にそうだな」と深く納得。はやく読んでみたい。そんな感じです。

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