AI原論 西垣通著 読了
AIと人間の思考含む生き物の行動原理の根本的違いとして、AIは「他律的」、生き物は「自律的」として原理的にAI(ここでは汎用AI)は生き物になることはできないということを解説した書籍。
「生きている」とは他者からは「不可知的」であるとし、その行動原理(というか存在)を哲学者メイヤスー「思弁的実在論」の「偶然性」の概念を参照しつつ「自律的」とは「偶然性が必然」であるという考え方から解説。
そもそも西洋人が汎用AIを人智を超えた存在として位置付けたがるのはキリスト教の三位一体の考え方が染み付いているのではないか、とその西洋人の思考原理も紹介。一方でAIはいずれ人間の知能を超える賢い機械になる可能性が高いという点は一般的なAI論者に賛同。
「AIは人間を超えるなんて本気で信じているんですか?」という西垣通氏と千葉雅也氏の対談を読んで、これが汎用AIの可能性と限界について、一番説得力あるなということで、早速西垣通さん著の本書「AI原論」読んでみました。
結論的には、千葉氏との対談の方が分かりやすくて面白かった。
本書に関しては、AIの限界性みたいなものに関して哲学が果たしてきたこれまでの成果に基づいて、なるほどAIには無理ですね、というのをより明快に答えてくれてます。
とはいえ、AIの機械としての可能性は革命的だというのは私自身感じています。
ビジネス系、自然科学系については当然ですが、芸術の世界でも音楽なんかは、既にコンピュータのランダム的な機能によって新しい音楽を生み出しているわけですし、それがもっと高性能化したら革命的な音楽がAIによって発明されるかもしれない。
AIは、人間含む生き物にはなれないが、生き物以上の知性を獲得するかもしれないということです。
*ニュージーランド テカポ湖 ルピナスの花
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