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思想(哲学と宗教)

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価値観の学問そのものといって良い哲学、価値観そのものといってよい宗教を勉強する事で「価値観とは何か?」に迫りたいと思っています。
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#アリストテレス

なぜ哲学を勉強しているのですか?

■他者:なぜ哲学を勉強しているのですか? ■自分:自分は、どう生きるべきか、どう生きるべきでないか?根本的に考えた上で生きたい=行動したいからです。 ■他者:その答えは出たのですか?あるいは出そうですか? ■自分:出ました。 ■他者:答えは? ■自分:「答えはありません」というのが答えです。 ■他者:それでは、哲学の勉強は無駄でしたね。 ■自分:無駄ではありません。「答えはありません」という答えが出たので、とてもスッキリしています。 ■自分:もうちょっと詳しく

「アリストテレス」ゆかりの地を巡る

アリストテレスは現ギリシア領スタゲイア出身の人ですが、アテネのアカデメイアを出て以降、彼がアレクサンダー大王の家庭教師になるまで(BC347年−343年)、エーゲ海沿岸の古代都市アッソス→レスボス島ミュティリネに滞在していました。 アッソスで彼は『政治学』『ニコマコス倫理学』を構想し、ミュティリネで『自然学』を著したと言われています。 ▪️聖地「アッソス」聖地「アッソス」は、レンタカーでないといけない場所にありますが、別途紹介した哲学発祥の地「ミレトス」とは違って、地元向

哲学発祥の地「ミレトス」に行ってきました

今回のトルコ・ギリシア訪問の目的の一つは、トルコ、イオニア地方の古代都市ミレトス。 哲学はどうやって生まれたのか?その生まれた、まさにその場所に行ってみたかったのです。その場所はトルコ、西アナトリア地方の古代都市「ミレトス」。 ミレトスは、そこそこ遺跡も残っているものの、観光ツアーで行くような場所ではないし、 バスなど公共交通機関もないような辺鄙な場所なので、空港でレンタカー(フィアット クロス)借りて行ってきたのです。 ▪️なぜ哲学は誕生したのか?古代ギリシアでは、

『形而上学』アリストテレス著 書評

<概要>世界の原理とそのありようをどのような形で理解すればよいか、アリストテレスがプラトン含めた過去の説とその課題も紹介した上で自説を展開。 【上巻】世界の構成要素(質料&形相)とその動的姿(生成と消滅&可能態→現実態)について解説。 【下巻】「神学論(第十二巻)」が主要課題。これに加え「天体の運行」「数」「イデア」などの諸概念に関する、アリストテレスの存在論(目的論に基づく存在論)との関係性などの関しての解説。 <コメント>アリストテレスのもっとも重要な著作と言われて

「政治学」 アリストテレス著 読了

<概要>古代ギリシア時代のあらゆる国制(外国含む)を調査し、分類し、強みと弱みを明確にしたうえで、現実的な「善い国制とは何か」を探ったアリストテレスの代表的古典。 <コメント>いくつかある翻訳書のうち「本書が一番読みやすい」とどこかで聞きつつ残念ながら図書館にもないし電子版もないので、紀伊國屋ウェブストアで4,620円払って購入→読了。 読み終わった最初の感想は、先に読んだ『二コマコス倫理学』同様、アリストテレスの律義な性格がよく出ていて面白いなということ。芸術家肌の師匠

アリストテレスの愛「フィリア」とは?

アリストテレス著「ニコマコス倫理学」では「フィリア」という概念に多くのページを割いています。 ニコマコス倫理学は、よくよく吟味すると、 ①個人としての善→幸福を紹介してのち ②その幸福の実現のための能力(アレテー)について解説し ③これを実践するための前提となる「意志の強さ」を取り上げ ④意志と実践の結果としての快楽と幸福の関係について論じ ⑤そのうえで他者との間に生じるフィリアについて解説した上で ⑥最終的な幸福論を展開する そして倫理学は政治学に繋がっていく、という

アリストテレス「ニコマコス倫理学」を読む:菅豊彦著 書評

<概要> アリストテレスの講義録を息子のニコマコスが編集した「ニコマコス倫理学」の内容をソクラテス・プラトンから続く古代ギリシア哲学の流れの中に位置づけた上で、その詳細について哲学に馴染んでいない人にも分かりやすく解説した著作。 <コメント> 「ニコマコス倫理学」通読後に、その理解の一助として読ませていただきましたが、非常に分かりやすく、かつ内容も整理されているので原典を読むのが億劫な方は本書の通読をお勧めします(時間のある方は原典にトライすべきですが)。 以下ニコマコス

アリストテレスの幸福論「ニコマコス倫理学(下)」 書評

<ニコマコス倫理学(下巻)の概要>幸福(エウダイモニア)に至るための知的なアレテーの解説含めた人柄のアレテーとの関係、そして社会的動物としての人間関係のあり方としての友愛(フィリア)と、人間の欲望を制御するための意志の持ち方をを踏まえたうえで「幸福とはどのような状態を指すのか?」を提示した著作。 <ニコマコス倫理学に関するコメント>下巻に至り、はじめてアリストテレスの著作を通読しましたが、講義録という性格上か、はたまた息子さんの二コマコスが講義録を編集した影響かは不明ですが

アリストテレスの幸福論「二コマコス倫理学(上) 書評

<概要>幸福(エウダイモニア)とは何か、より深く理解することで善き人になり、この結果として幸福になるためのアリストテレスによる指南書。このうち上巻は、幸福とは何か?性格の良さとは何か?正義とは何か?について。 <コメント>プラトン著作は、ほぼ終えたので、今後はアリストテレスに移行。今後本書に加え「形而上学」「政治学」を通読予定。 プラトン著作は、読み物そのものとしての面白さがあるので、飽きずに長時間読むことが可能ですが、アリストテレスの本著作は、読者向けではなく「自分の講

「これからの正義の話をしよう」M・サンデル著 書評

<概要> 正義に関する具体的思考実験を読者とともに考えながら、これまでの既存の思想(功利主義、リバタリアニズム、カント、ロールズなど)を紹介し評価しつつ、最後にコミュニタリアニズムの正当性を主張した著作。 <コメント> 本当はプラトン関連著作を読みすすめるスケジュールだったのですが、西研著「哲学は対話する」にいたく感動してしまったので、その流れでコミュニタリアンの主張を勉強すべく、親戚が私にくれたベストセラーをさっそく読んでみました。 が、コミュニタリアニズムに触れている

鏡のなかのギリシア哲学 小坂国継著 書評

<概要> ギリシア哲学をタレスなどのソクラテス以前の哲学から、プラトン、アリストテレスを経て、ストア派から新プラトン主義のプロティノスに至るギリシア哲学を西田幾太郎的・東洋的視点から俯瞰した著作。 <コメント> 西田幾太郎研究の第一人者、小坂国継先生によるギリシア哲学概観。オープンカレッジでも小坂先生の講義を受講しているのでギリシア哲学勉強の一環として読んでみました。 ギリシア哲学といえば、ソクラテス・プラトン・アリストテレスになりますが、ソクラテス除く2名に加え、ストア