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思想(哲学と宗教)

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価値観の学問そのものといって良い哲学、価値観そのものといってよい宗教を勉強する事で「価値観とは何か?」に迫りたいと思っています。
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#コーラン

なぜ哲学を勉強しているのですか?

■他者:なぜ哲学を勉強しているのですか? ■自分:自分は、どう生きるべきか、どう生きるべきでないか?根本的に考えた上で生きたい=行動したいからです。 ■他者:その答えは出たのですか?あるいは出そうですか? ■自分:出ました。 ■他者:答えは? ■自分:「答えはありません」というのが答えです。 ■他者:それでは、哲学の勉強は無駄でしたね。 ■自分:無駄ではありません。「答えはありません」という答えが出たので、とてもスッキリしています。 ■自分:もうちょっと詳しく

『コーラン』を読む:井筒俊彦著   読了

<概要>イスラム教の聖典『コーラン』を読むことで「イスラーム教の本質」と「言語の本質」の双方を私たちに知らしめようとした言語哲学者「井筒俊彦」の講演録。 <コメント>アラビア哲学専門家にして早稲田大学准教授小村優太先生の「イスラーム思想入門」の講義で紹介されていたので、さっそく読んでみました。小村先生によると本書は『コーラン』を題材にした井筒思想、ということだそう。 以下長くなりますができるだけ、今の私たちのコトバに翻訳して紹介したいと思います。 ⒈『コーラン』の成立

『コーランには本当は何が書かれていたか?』 書評

<概要>フェミニストで啓蒙主義の価値観をもつアメリカ人のジャーナリスト、カーラ・パワーと、インド出身の保守的イスラム学者アクラムの交流を通じて、イスラム教の本質について迫った感動せざるを得ない著作。 <コメント>本書を読むと、アッラー(神)とアッラーの預言者だったムハンマドの意図するところを、恐れ多くも本質的な形で理解できたような感じもします。 というのも本書に登場するインド出身のイギリス在住イスラム学者、モハンマド・アクラム・ナドウィー師は、本来の意味でのイスラム原理

コーランをそのまま実践するとISになる?『イスラム2.0』飯山陽著 私評

<概要>ネットやSNSが普及したことで、イスラム教の啓典が直接信徒が触れるようになったことでイスラム原理主義が増大していることを「イスラム2.0」と表現。 この結果「コーランをそのまま読めばISになる」とした、イスラム教過激論を紹介。 著者の一貫した主張には原理主義的な、きな臭いニオイを感じますが、インドネシア、エジプトなど各国の宗教事情の解説や最後の「イスラム教と共存するために」などは興味深い内容となっています。 <コメント>これまでずっとイスラム関連の著作、コーラ

『コーランⅡ』中公クラシックス版 読了

『コーランⅡ』も読み終わったので、12月の「『コーランⅠ』中公クラシックス版 読了』の更新となります。なぜなら『コーランⅡ」に書いてある内容は『コーラン1』の内容とほとんど変わらないから、というか同じ内容の繰り返しだから。 とはいうものの「イスラーム教の目的である来世の天国」の具体内容も明確になったので更新しつつ、細かいところを加筆いたしました。 <概要>イスラーム教の経典「コーラン」は、アラビア語で書かれたものしか「コーラン」ではないので、本書は正確には「コーランの日本

『コーランⅠ』中公クラシックス版 読了

<概要>イスラーム教の聖典『コーラン』のうち、1章ー19章(全114章)までの日本語訳。 <コメント>イスラーム教の経典「コーラン」は、アラビア語では「アル・クルアーン」と呼ばれ、アラビア語で書かれたものしか「コーラン」とは呼べません。 なので本書は正確には「コーランの日本語訳解説本」ということになります。それでも本書読了に至り、イスラーム教の教えについて知りたければ、日本人は「まずはコーラン日本語訳解説本を読むべき」と改めて認識させられました。 ■コーランは正真正銘の

『イスラーム帝国のジハード』小杉泰著 書評

<概要>ジハードはもちろん、ジハードだけでなくイスラーム教とイスラーム社会、イスラーム国家についての歴史の概要と現代につながるイスラーム教の思想的立ち位置を紹介するイスラーム思想史専門家による「興亡の世界史」シリーズの著作。 <コメント>こちらも国際政治学者の福富満久先生紹介の本。引き続き通読。 ■ジハードについて「ジハード」というと、「聖戦」ということで我々日本人から見ると「イスラームのためにテロリストが自爆テロでなくなって天国に行く」という程度のイメージだと思いますが

『イスラームから世界を見る』内藤正典著 私評

<概要>イスラームからの視点で現状の国際状況をみるとどうなるか、非常に分かりやすく、かつ説得力のある内容で解説してくれる本。 著者自身、トルコ語を話すということもあり、アフガニスタンのカルザイ大統領含め、イスラム圏の有力者たちの直接インタビューの経験が豊富で、彼らから見たアラブの春、シリア内戦、アフガン問題やトルコ人によるアルメニア人大量虐殺事件、ムスリムのヨーロッパ移民たちの見方なども非常に興味深い内容。 また、近代国家の概念、民族という概念の経緯等、知識人としての基本

『イスラーム基礎講座』渥美堅持著 書評

<概要>イスラーム教について、その思想から歴史、現代のイスラム案件(原理主義、テロ、アラブの春など)まで、網羅的に解説したイスラーム「総合」講座。 <コメント>すでにイスラーム教関連の著作は何冊か読んでみましたが、作家の佐藤優が「イスラームについて知るにはこの本を超えるものはない」と紹介しているように個人的にも本書が一番トータルでイスラーム教のことが理解でき、初心者向けとしては、相当おすすめの本。 ただしなかなかのボリュームなので、もっとざっくり知りたい方は、以下もおすす