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思想(哲学と宗教)

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価値観の学問そのものといって良い哲学、価値観そのものといってよい宗教を勉強する事で「価値観とは何か?」に迫りたいと思っています。
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2020年12月の記事一覧

「国家(上)」プラトン著 書評

<概要> 国家に必要なリーダーとリーダーが保持すべき魂とその詳細について対話形式で解説した著作。 <コメント> ■哲人政治について プラトンの政治論で有名なのは、いわゆる「哲人政治」ですが、実際に「国家」を読んでみると、哲人は我々がイメージしている哲学者のことではありません。 当時の哲人(哲学者)の概念は、 どんな学問でも選り好みせずに味わい知ろうとするもの、喜んで学習に赴いて開くことを知らないものは、これこそまさに、我々が哲学者(愛知者)であると主張して然るべきもので

「善とは何か? 」検証

「善とは何か?」について様々な思想家が定義しています。大きく分けて3パターンの考え方があって、 ①善そのものがあって、それはこれこれである ②そもそも善は、語り得ない=定義できない ③「善とはこれこれである」と問うのではなく「善はどのような構造で成立しているのか」と問うべき という感じです。 平原卓「読まずに死ねない哲学名著50冊(以下、哲学名著)」や竹田青嗣の「欲望論第二巻」はじめ、各種著作などから拾ってみました。するとこれが結構面白い。それぞれに「なるほど」と思わせ

「読まずに死ねない哲学名著50冊」平原卓著 書評

<概要> 著者が選んだ古代から現代に至る哲学の名著50冊をピックアップして今の言葉で、わかりやすく解説した著作。ブログ風に数ページずつに分かれて1冊ずつ書かれているので分厚い本である一方、どこからでも読める辞書的な著作。 <コメント> 本書を読んでいて感じるのは、本書でも紹介されている、近代言語学の始祖ソシュールのいう「言葉は生き物」という概念。我々が一番理解しやすいのは一番新しい言葉(本書は2016年出版だからもう4年経ってしまっていますが)。 私たちは、今に生きる言語