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イスラエルのDefense techランドスケープ最新版と実例(Wiz編)

 イスラエルは、グローバルな安全保障環境が変化し続ける中で、その防衛産業が課題に対応し続けていることから、地政学的な潮流を捉えるのに適した位置にある。必要性に駆られ、強固な基盤と実践的な環境に支えられて発展してきたイスラエルの防衛技術セクターは、今や堅牢なエコシステムへと進化している。
 このセクターは、軍事と民間の応用を巧みに融合させ、革新的な技術、スタートアップ、そして世界的に認知された航空宇宙・防衛企業を含んでいる。ダイナミックなスタートアップと国際協力に支えられ、イスラエルのイノベーターたちは、防空、国土安全保障、航空、デュアルユース応用、宇宙技術など、重要な課題に取り組む先端技術を開発している。
 イスラエルのスタートアップエコシステムの情報ポータルを提供しているStartup Nation Centralによると、イスラエルには160社以上のDefense tech企業が存在しており、最新のセクターランドスケープは、以下のような特徴を持つ:

1. 多様な応用分野:
・国土安全保障(HLS):24社
・デュアルユース:47社
・両方の分野:80社

2. 技術の範囲:
・防衛技術:海軍、空軍、地上軍向けの先進装備とシステム
・国土安全保障:対テロ、国境警備、サイバー防衛、インテリジェンス収集など
・デュアルユース技術:民間と軍事の両方に適用可能な機器とソフトウェア
・宇宙技術:宇宙旅行と探査のための装置とシステム

3. エコシステムのサポーター:
・主要防衛企業
・投資家
・アクセラレーター

 イスラエルのdefense techセクターは、軍事と民間の応用を巧みに融合させ、革新的な技術、スタートアップ、そして世界的に認知された航空宇宙・防衛企業を包含している。ダイナミックなスタートアップと国際的な協力に支えられ、防空、国土安全保障、航空、デュアルユース応用、宇宙技術など、重要な課題に取り組む先端技術を開発し続けている。
 その一例として、defense techの重要な一角を占めるサイバーセキュリティ分野でも、イスラエルのスタートアップが注目を集めている。特に、クラウドセキュリティ企業のWizに関して、最近大きな動きがあった。

 本メディアでも繰り返し取り上げてきたWizだが、GoogleがWizを約230億ドル(約3兆3,000億円)で買収する交渉を進めていたが、この度交渉が中止されたことが明らかになった。
 Wizは2020年に設立された比較的新しい企業だが、急速な成長を遂げ、クラウドセキュリティ市場で重要なプレイヤーとなっている。同社の評価額は約100億ドルと推定されており、Googleによる買収が実現していれば、サイバーセキュリティ業界史上最大の買収案件となる可能性があった。
 交渉中止の理由は明らかにされていないが、この動きは、イスラエルのサイバーセキュリティ企業の高い技術力と市場価値を示すものと言える。また、大手テクノロジー企業がサイバーセキュリティ分野を重視している証左でもある。
 Wizの事例は、イスラエルのディフェンステックエコシステムの強さと、特にサイバーセキュリティ分野における同国の優位性を改めて示すものとなった。今後も、イスラエルのサイバーセキュリティ企業の動向に注目が集まることは間違いない。

参考資料

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