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越境ECの活用② 中国EC・越境EC事情

 前回、越境ECとはどういうものかについて、簡単にお話させて頂きました。

 前回の記事「越境ECの活用①」でも取り上げたように、中国のEC市場規模は莫大なものです。引き続き、越境ECについてですが、今回は対中国の越境ECに焦点を絞り、中国のEC事情を考察、何故越境ECの相手国として中国を推奨するのか深堀りしていきたいと思います。

 今回も経済産業省作成「令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)」のデータを参照しています。

中国のEC事情

 中国のEC市場規模は、他国を大きく引き離し世界一です。純粋な人口の多さももちろん理由のひとつではあります。中国の総人口は14億人と言わずと知れた世界一人口の多い国ですが、以下のグラフを見てみると2020年時点で13.8億人の人口を誇るインドとでは大きな差が開いていることがわかります。

正解主要BtoC-EC市場規模を示すグラフ

 この事から、純粋な人口の多さではない理由が、中国のEC市場規模をここまで成長させたと考えられます。中国でEC市場が拡大した理由はいくつかありますが、大きく次のような理由があります。

キャッシュレス決済の普及

 中国ではモバイル端末の急速な普及により、10億1千万人以上の人々がインターネットに接続できる環境にあります。また、そのうち10億人以上がスマートフォンなどの携帯端末からのアクセスで、インターネット利用者の99.6%にのぼります。

 このように、中国ではモバイル端末の普及と同時に、インターネットの利用者も爆発的に増えました。
 そして、それに比例して浸透したのが「キャッシュレス決済」です。
 インターネットに接続した端末からQRコードを読み取ると決済が完了する手軽さや、現金を持ち歩かないので盗難に遭う危険性が下がる事等、中国の国民性とマッチしたこのキャッシュレス決済は、またたく間に中国で普及しました。

中国の代表的なキャッシュレス決済
左から WeChat Pay、UnionPay、ALIPAY

 中国で利用者の多いキャッシュレス決済は「WeChat Pay」「UnionPay」「Alipay」で、多くのECサイトはこのキャッシュレス決済に対応しています。このことで、ECで買い物をする事の敷居が下がっている事が予想されます。

 また、WeChat(メッセンジャーアプリ)の中で動作する「ミニプログラム」と掛け合わせる事で、更に加速したと言えます。
※WeChatについては今後記事にしていこうと思います。

中間所得層の増加

 消費の中心とされる中間所得層(中流階級や富裕層)が増加したことも、中国のEC市場を盛り上げている要因だと考えられます。
 中国では近年、所得の増加により消費者の意識に変化が起こっています。具体的には、安価で粗悪なものより、高価でも品質の良いものを購入したいという、商品に対する価値観の変化です。
 これにより、購入額、ひいてはEC市場が拡大していると言えます。

 また、経済協力開発機構(OECD)によると、先進国の人口に対する中間所得層は50%~60%(2019年報告)となっているのに対し、未だ中国は約30%にとどまっており、これから更に市場は拡大・拡張すると予想されます。

大規模オンラインセール「独身の日」

 近年、爆発的な売上を記録する大規模なオンラインセールが存在します。毎年11月11日に開催される「Singles’Day(独身の日)」です。
 そもそも、中国の11月11日とは「光棍節(こうこんせつ)」と呼ばれ、独身者である1人を連想させる「1」が並ぶことから、一般的に独身の日という意味合いで広まっていきました。ちなみに中国語で「光棍」とは独身者を意味します。

 日本人の感覚ではあまり理解出来ませんが、「独身を祝う」イベントとして定着していた「独身の日」にあやかり、2009年にアリババグループがECサイト上で大規模な販促イベントを行いました。
 この1回目の「独身の日」イベントは、予想を大きく超える数値となり、以降「独身の日(双11、ダブルイレブンとも)」は定着していく事となりました。

2021年 アリババ「独身の日」セール開催風景

 現在では、アリババを筆頭に、各大手ECサイトが一斉に大規模な販促イベントを行っています。さらには、百貨店やスーパーなどの小売業全体でセールが実施される一大商戦の日へと変化しました。

 なお、2021年独身の日の取引額は、中国ECの二大巨頭であるアリババと京東(ジンドン)の2社合計で8,894億元(約15兆6,000億円)と、過去最高を記録しました。1日の取引額なので、本当に桁違いですね。

中国の越境EC事情

 上記のように、他国を大きく引き離して盛り上がりを見せる中国のEC市場ですが、越境ECはどうでしょう。
 前回の記事でも取り上げましたが、日米中3カ国の越境ECの購入額は以下の通りとなっています。

 図からもわかる通り、日本やアメリカを圧倒し、中国の越境ECは盛んであることがわかります。

越境ECでの売れ筋

 中国の越境ECでは、何が人気なのでしょうか。以下のグラフを見てみましょう。

 最も人気があるものは「化粧品・美容関連製品」で、次に僅差で「トイレタリー」、「健康商品」、「食品・飲料」という順になっています。
 ここで言うトイレタリーとは、身体の洗浄や身嗜み、嗜好などを目的とした商品の総称です。基本的に身嗜みのため、身体を手入れするためのものを指します。

 上位4つを鑑みるに、中国の消費者が健康志向の傾向にあることがわかります。近年中国では、衛生面の向上や品質の高さを訴求する動きが強く、中国国内のメーカーよりも海外(日本を含む)の信頼できるメーカー、ブランドのものを購入したいという、消費者の意向が反映された結果でもあります。

参入の余地

 既に肥大化した中国の越境EC事業に、新たに参入する余地は残されているのでしょうか。以下のグラフを見てみましょう。

 多くの越境ECサービス利用者は、「正規品であること」に価値を見出している事がわかります。しかし、注目すべきは、「より多様な商品 51.9%」の部分です。
 これは、越境EC利用者の2人に1人が「もっと色んな商品を見たい、知りたい、購入したい」と考えているという事です。
 もし、「中国に進出したいとは考えているが、既に類似品が流通しているだろうから」と足踏みしている方は、一度弊社へご相談下さい。

 中国の越境EC市場は、まだまだ参入する余地が残されている事は間違いありません。
 特に近年では、中国の流行は目まぐるしく変化し、予想もしていなかった大ヒット商品が生まれる事も珍しくありません。何が当たるかわからない、とは良くいいますが、消費者の目に触れないことにはヒットしようがありません

日本から中国へ

 今回は中国の越境ECに焦点を絞ってまとめました。
 様々な要因で巨額な市場を形成している中国越境EC市場ですが、コロナで日本国内の消費が落ち込んでいる今、自社の製品を中国で販売してみませんか?

 弊社では、中国越境ECに係る煩雑な手続きや、宣伝・広告の代行、更にはKOLを起用したライブコマースの手配など、多岐にわたってお客様の中国進出をサポート致します。

 中国現地法人もありますので、中国の流行をいち早く正確に捉え、的確なアドバイスをさせて頂きます。
 「こういう商品があるけど、中国で売れるだろうか」という、ご相談だけでも構いません
 お問合せは弊社HPのお問合せフォームより受け付けております。

ライター:
株式会社 GTL KYUSHU
営業部 広報担当 河野


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