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インバウンド事業のこれから

 新型コロナウイルスのパンデミックにより、自由な入出国が困難な2021年でしたが、2022年内には段階的な入出国制限緩和が実施されると予想されています。自由な入出国が再開されれば、新型コロナにより疲弊した日本経済も、徐々にではありますが回復方向に向かう事でしょう。

 今回は、海外から日本を訪れる訪日旅行、いわゆるインバウンドについてです。昨年までのデータを整理し、コロナ禍後のインバウンドについて、どのような対策が必要か、考えて行きたいと思います。

 弊社では、中国の訪日旅行客をメインに扱うインバウンド事業のサポートをさせて頂いております。前回紹介したWeChatを利用し、中国人に最も適した宣伝・広告を、効果的に実施します。また、WeChat Payによる電子決済サービスの導入にも対応しております。
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インバウンド

 そもそもインバウンド(Inbound)とは「外から中へ入る、内向きの」という意味の英語で、それをそのまま観光用語として定着させたものです。一般的に、海外から日本国内へ来る旅行のことを指します。

 皆さんご存知の通り、新型コロナウイルスのパンデミックにより、日本をはじめとした多くの国が国外への渡航を制限しています(現在は緩和されている国も一部あります)。
 2019年年末より始まったこのコロナ禍。インバウンドはコロナ流行以前とコロナ流行以後とで、どのように変化したのでしょうか。

※本記事作成にあたり、日本政府観光局(JNTO)「観光統計データ、及び国土交通省観光庁「訪日外国人消費動向調査を参考にしています。

コロナ禍以前のインバウンド

 まず、コロナ以前の訪日観光についてです。直近10年間の訪日観光客の推移を見てみましょう。

訪日外客数(2010-2019)
JNTO 観光統計データより弊社作成

 コロナ流行以前直近の10年間の訪日観光客数は、2011年の東日本大震災の影響で一時停滞したものの、2018年まで継続的に伸びていた事がわかります。2018年にははじめて3000万人を超え、日本は世界的に有数の観光大国となりました。
 世界経済フォーラム(WEF)調査によると、2018年の日本の観光競争力はスペイン、フランス、ドイツに次ぐ世界第4位でした。
※世界経済フォーラム(WEF)「The Travel & Tourism Competitiveness Report 2019」より。同調査は14の項目から各国の観光競争力を評価するもので、毎年実施されるものです。

 同上の調査で上位となったスペインやフランスは、2018年のインバウンド旅行客数が8000万人を超えています。このことから、同じく上位にランクインした日本への旅行客数も、まだまだ増える余地があると考えられています。日本政府は、訪日観光客数を2021年に4000万人、2030年に6000万人まで成長させる事を目標として掲げています。

 ちなみに、2019年の訪日外客数のうち、約960万人、全体の30%超が中国からの旅行客であり、台湾や香港まで含むと1677万人以上の人々が中国語圏から日本に訪れています。これは、外客数全体の52.6%にも上ります。

2019年 訪日外客数 国別内訳
JNTO 観光統計データより

 この事から「中国語圏の旅行者の心を掴めるか」が、インバウンド事業にとって重要だと言うことが分かって頂けると思います。


 次に、インバウンド消費額についてです。同じく、直近10年間のデータです。

訪日外国人の旅行中支出額(2010-2019年)
国土交通省観光庁 訪日外国人消費動向調査より弊社作成

 ここで言う「旅行中支出」というのは、ツアーパッケージ料金や往復航空機料金等の旅行前支出を除いた、1回の日本旅行で1人あたり日本国内で消費した金額です。
 2012年から2015年まで支出額は上昇し、2016年からは15万円程の消費額で安定している事がわかります。
 訪日外客数は伸び傾向でしたが、旅行中支出額は伸び悩んでおり、ここからどのように訪日旅行客の消費額を増加させるか、というのが、コロナ禍以前のインバウンドの課題でした。
※旅行中支出額の調査は2010年4月度から開始されたものです。2010年のデータは1-3月期は含みません。また、今回は外客者国籍や滞在日数、旅行先等は焦点としません。


コロナ禍のインバウンド

 では、コロナ禍になってからはどうでしょうか、先程のグラフに2020年と2021年を追加してみましょう。

訪日外客数(2010-2019)
JNTO 観光統計データより弊社作成
訪日外国人の旅行中支出額(2010-2021年)
国土交通省観光庁 訪日外国人消費動向調査より弊社作成

※旅行中支出額のデータについて、2020年4月以降、新型コロナウイルスの影響により調査を実施しておりません。そのため、2020年度は1~3月期をベースとした推定値であり、2021年度は調査中止のため標本無しとなっています。

 グラフを見て分かる通り、2020年は2月3月頃から入国規制や入国後の行動規制がかかり始め、特段の理由のない入国が困難となり、2020年の訪日観光客は前年度から87%減の412万人となりました。
 更に2021年には入国規制や水際対策の強化、更には他国の出国規制、旅行自粛もあり、訪日外客数は19万人となりました。これは2019年からすると99.4%減です。
 「そんなに減っていたのか」と驚く方もいらっしゃるのではないでしょうか。インバウンドの現状は、入国者数だけで言えば2年間で160分の1まで落ち込んでいます。もちろんこれは、新型コロナウイルスの水際対策が正しく機能している証拠でもあります。
 しかし、訪日観光客が激減し、インバウンドによる収入が大きなウエイトを占めている観光地や、その周辺宿泊施設・飲食店・物産店などは大きな打撃を受ける事となったのは皆様ご存知の通りです。
 非常に残念な事ですが、コロナ禍により、事業の萎縮を余儀なくされた企業や、廃業という決断に至った企業の話も耳にします。


コロナ終息に向けて、いま出来る事

 コロナによって打撃を受けながらも、コロナ終息後に向けて準備を進めているのは、どの企業様も同じかと思います。
 その数ある企業の中で、コロナ終息後いち早く事業を回復させる為に、出来ることはなんでしょうか?
 それは、コロナ終息後に備え海外に情報を発信することです。

 先に延べた通り、訪日外客(旅行者)のうち、半分は中国語圏の人々です。この割合は、コロナが終息し自由な渡航が再開した後も、大きく変わることはなく、多くの中国語圏の人々が旅行に来ることが予想されます。
 WeChat上で行われたアンケートによると、コロナによる渡航制限が解除された後に訪れたい国のトップは日本であり、中国人の日本へ渡航したいという感情は、コロナ禍によって渡航できないことで、高まっていると言えます。
 また、中国から日本へは、渡航の費用・所要時間を抑える事が出来るため、コロナ終息後の旅行先として選ばれやすいという点もあるでしょう。
 中国では、情報をSNS上で収集するのが一般的であり、商品やサービス、そして旅行の情報もSNSを介して伝わることが多くあります。旅行に関しては、観光地情報や飲食店の情報、宿泊施設の情報など、SNS上の口コミを参考にするユーザーが多くいるため、非常に重要です。

 そのため、自社の製品やサービスをSNS上で発信し、「コロナが落ち着いたらどこに行こうかな」と迷っているユーザーの目に止まり、旅行先・購入物の候補にならなければなりません
 これは、コロナが終息し、自由な渡航が再開してから開始していては遅く、他多くの企業に埋もれてしまいます。
 コロナ禍である今だからこそ、自社の製品・サービスを効率よく宣伝すること。それが、コロナ終息後に向けて出来る事であり、しなくてはならない事と考えます。

 しかし、効果的な宣伝を行うには相応のノウハウが必要です。
 弊社では、中国へ向けた煩雑な手続きや、リサーチ、効果的な宣伝等を代行して行っております。
 越境ECを利用した中国への進出、海南島での出店・出品、インバウンド事業に関する広報等、弊社事業に少しでも興味のある方は、是非弊社HPよりお問合せ下さい。

 今回は、インバウンドをコロナ以前、以後で比較し、まとめてきました。いかがでしたでしょうか。
 コロナにより、日本に限らず世界のインバウンド事業は苦しい状況が依然続いております。少しでも早い渡航の正常化を願い、感染予防をきちんと行いましょう。

 日本へ多くの外国人観光客が訪れ、日本の素晴らしさを世界の多くの人に知って貰える日を待ち望んでいます。

ライター:
株式会社 GTL KYUSHU
営業部 広報担当 河野

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