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半年ぶりに宝塚歌劇を観て感じた事の話(雪組公演NOW!ZOOM ME!!感想)

1階1列46番には座れなくても、
座席の良し悪しなんかを超えた、心の届き方がする。

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2月頭に1階1列44番に座ってから7ヶ月経った9月、
幸運な事に望海風斗(のぞみふうと)さんのコンサート「NOW! ZOOM ME!!」を観ました!!!!と言うことでその感想です。

もうこのビックリマークの数で感じ取って欲しいね。諸々を。
宝塚興味ない人も宝塚の謎の世界に触れてってくれよな。

ほら触れるんだよ!!!!!!


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もうなんかこの緞帳に映された謎の絵の時点で何か始まるなって感じするでしょこんなもん。
いつの年代のアニメだよみたいな。

久々だからつって張り切って早く入り過ぎてほぼ誰も居なかったよな。

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しばらくするとすごいゴシック体で話しかけてくれる。ありがてえよな。

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ビジュアルからもう攻めてるもんな。ジョジョみ風斗さんだもんなもう。

思いつく限りのエンターテイメントで襲いかかってくる2時間半。
完全にサイトー先生による犯行ですよ。
先生ホントにシラフでこんな世界観思いつくんですか?大丈夫すか?(??)

この瞬間だけは日常を忘れて楽しんでいってくださいね!

とか、

もはやこれはそういう域の話じゃないからね。


誰が宝塚観にいって、バブルとマジックショーとドリフとコントと金八先生パロディ、
アニソンBGMに宇宙人と謎の怪傑の対決が始まるって予想できるんすか。

なんだあの序盤にあるビビッドな背景にタカラジェンヌの顔面が浮いた電子ドラッグみたいな映像は。

めちゃくちゃ助かるっつ〜のって。

つってもね、
もちろん宝塚らしい部分もちゃんとやってくれる。
そんな撃てる弾を全弾乱射してくると思わないじゃないですか。
そんなことしてくるの怒ったランボーくらいのもんですよ。
ランボーのシリーズ3作目並の爆発力がある。
あのランボーむちゃくちゃキレてますからね、でも瞳にはいつだって戦いへの憂いを秘めてますからねランボーは。

ほぼずっと出ずっぱりの望海風斗さんって精神と時の部屋から出てきた悟飯か何かかな?と思いましたよ。
自粛期間だったんですよね?もしかしてお住まいが精神と時の部屋なんですか?
実質セルゲーム並の怒涛感ありましたよ。
(※望海風斗さんは横浜出身なのでサイヤ人ではないし、ご本人曰くドラゴンボールZで演じてみたいのはベジータです。)

この演目はほぼ、
観る電子ドラッグ(現実)みたいな時間が得られるわけです。
一気に吸ってガツンと来るタイプのやつっすわ完全に。

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(※金晩に食うメンラーでも脳内麻薬の分泌的な意味で大体同じような効果が得られます。)

いや?今何が起きてたんだっけ?
って思っている間にまた別のこと起きますからね。

突然大音量でコナンの主題BGMが生演奏されるし、
無表情でショッカーをやるタカラジェンヌの映像をでかいスクリーンで見て
一体何が起きているんだ?という世紀末間を味わえる。
何あの手の動き、脳から取れなくなるが????

あの人たちは絶対真剣にショッカーの役作りやってますからね。
絶対そう、ショッカーチームで話し合いとかやって
より己を高めて披露したイィーッ!!!なんですよ。

軒並み声がデカいからすごい通る「イィーーーッ!!」が聴ける。

全身タイツで顔が半分隠れる仮面被って無表情で襲いかかってくるから。イィーーッ!!本当にいいんか!?

ありがたいですよね、そういうのありがたい。


そう思ってる間に主演がキカイダーのパロディで変身します。

もう一回言いますけど


突然人造人間キカイダーのパロディでトップスターが変身しますからね怪傑に。


その後突然仮面ライダーオーズの主題歌に載せてショッカーの親玉との対決がはじまりますから。

※宝塚のショーで起きる大抵の事象の枕詞は基本的に「突然」なので覚えておいてください。


そのあと松崎しげるが夜空に浮かぶのが見えるような朗々とした歌声でワンダフルモーメント。右上にしげるが見える。自分だけかもしれない。


なんだかすごい時間だった。(開演した瞬間からそれはずっとそう)

さすがこの公演の主題歌で「見せてやろうぜ人生劇場 振り向かずに攻めるぜ ド派手に行こうぜ」っつって言ってるだけある。

ここが完全に人生劇場。

そう思っている間に突然始まる怒涛のバブルメドレー。
さっきまでショッカーやってた人もショッカーの親玉やってた人も全員ド派手な服に着替えてバブルメドレー。

ジュリ扇振り回してソバージュしてでけえグラサンかけて肩パッド入れてバブルメドレーなわけ。ここがディスコ。サンキューです。

メドレーの間舞台中央奥のスクリーンに各々個人のしゃかりきな映像が映るんすけどそれが最高なんすよね。
キメにキメてる。現代にこんなに本域でキメてくる奴おるか?というくらいキメてますからね。最高ですよ。常に120%の力を出してくる。
タカラジェンヌは全員戸愚呂弟みたいなポテンシャルありますからね。必然ですね。

バブル時代とかトレンディドラマ全盛期の主題歌の空気感が結構好きなんで個人的にはかなり楽しめたんすけど、若い子とかわかるんですか?
ていうか若くなくてももうバブルはわからんよ。俺の考えた最強のバブルみたいな感じでよかったっすよ。
多分本当の世代の人からしたら「キルビル」で描かれた日本みたいな感じなんじゃないすかね?
個人的にはキルビルはGO-GO-夕張が好きですよ。
まさかキルビルももう古いんすか?

とか思っている間に突然始まるマジックショー。

どんだけエンターテインメントやってくれるんだよ。

歌って踊って演じるのが宝塚だと思ってたけど特撮もやればマジックもやる。

すんごいキラキラした顔でやってくる。

「こんなんどうですか!!?!?」
「次こんなんどうですか!!?!?」
「これもどうですか!?!?!」
「最後にこれもやっときますね!?!?!?!」

小規模なインド人のやってるカレー屋(ほんとは大半ネパールの方らしいっすね)とか
名古屋のモーニングでもここまで特典つけてこねえよと思うほどに色々やってくれる。

しかもマジックショーは普通にすごくて全然仕組みわからん。

そうこうしてる間に始まる突然の宝塚らしい黒燕尾。
BGMは宝塚界隈では、ベルサイユのばらのフィナーレで使われていることで有名な「小雨降る径(みち)」

オイオイオーーイ運動してる時に急に止まっちゃダメって学校の先生に教わらなかったんすかね?こっちはもう動機息切れだけども?
舞台上の張り詰めた緊張感で息の根止まるんすけど?

圧で大切な臓物がバロンッと出そうなんすけど?
(宝塚で臓物が出るときは効果音も思わず爵位を得る)

そして流れ出す、04年花組のアプローズタカラヅカで使われた「PE'Z」の「Akatsuki」で群舞。完全にシャレオツ。そういうの皆大好きですからね。


何その緩急。観劇によるヒートショックで心肺停止したらどうしてくれるんすか。
考えてみればその死に方は割と本望ですけど周りに迷惑かかるんでね。

アプローズタカラヅカはだいたい皆大好きですからね。わかりますよ。
後からハマっても絶対通りますからね。

鳴り響くスネアドラムの乾いた音と全員の呼吸が合う瞬間が気持ち良すぎるつって。

群舞の後にまた公演用に用意された曲で一幕終わり。

一幕終わり!?まだあるの!?もう満腹だけどまだあるの!?(嬉しい驚き)

的なお得感。

んで二幕ですよ。始まるじゃないですか。

「106年〜!

雪組!アヤナギ先生ェーー!!!!」


いや106年は長えよ!!漂流教室かよ?!(2020年で宝塚歌劇は106周年を迎えました。)

とか思った瞬間画面に映し出される金八先生パロディーのガチで作られたオープニング。

金八先生の役やってる人、普通に顔が綺麗過ぎてセミロングの美人にしか見えないのに、動きと格好が研究し尽くされたオッサン。

アヤナギ先生の「雪組トップスター望海風斗さんの得意とする役柄は?」

という質問、しばらく周りが考えていると

アヤナギ先生「そう、反社会勢力、ギャングそして共通するのは」

「貧乏」「雪組こそ貧乏!!!!貧乏こそ雪組!!!!貧乏万歳!!!!」

という突然のヤケクソ展開。

アヤナギ先生は生まれたてなのか、
まだ「人」と「入」の文字の識別が出来てないんですけどね、雪組の事情には詳しい。

ここ数年の雪組と言えば主人公がほぼ死に、絶望し、狂気に陥ったりしがちでしたからね。

悲劇が圧倒的に多い雪組の演目がハッピーエンドになったら?という話の流れになり、

楽しげに始まるBGM

「ノッノッノゾミの大爆笑〜!!!!♬♬」



そうはならんやろ!!!!!!????!!(なった)



という事でここ5年間の雪組の演目パロディーが入りまくりの寸劇。もうムチャクチャ。ムチャクチャだけど脳死で楽しんで下さいという気概を感じる。

やっぱり合法ドラッグじゃねえか(宝塚は合法ドラッグです。)


ドタバタというかもう

ドタドタドタドタドタドタドタドタッ!!!!

バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタッ!!!!!!!!

みたいな感じっすね。

それが終わったと思ったらこれ、見たのAパターンなんで、もう怒涛の花組メドレーっすよ何なの?

一体宝塚の人たちは我々をどうしたいんすか!?!?

Happy!!!!!!!!LOVE&PEACE!!!!

感情と脳と全部置いて行かれてるのでこのあたりから記憶がムチャクチャになってくるが
花組も雪組も好きだなって人はもうガァハァッつってね、なっちゃいますね。

そこからもう弾き語りもあり、
トークコーナーもあり、アンコールまでずっと楽しいわけっすよ。

感じたな、エンターテインメントのパワーをな。

もうなんか半年ほどの延期を経たこの公演、「楽しい気持ちをお届けしてえ!!!!」という気持ちの圧が凄いわけですね。

客席は全員マスク、入場は検温と消毒、何より開演前いつも騒がしい関西人も全員お口チャック、1000人以上が全員黙る、シーンって音が聞こえるほどにっすよ?!
座席も一個ずつ空いて異様な雰囲気の中、

そんなもん関係ねえというほどの出演者の方々の楽しませようという圧!

ハーこれが〜〜宝塚歌劇団の〜〜圧〜〜!!つって感動して泣けるわけっすわ。

どこに居ようが関係なく届く気持ち、あるねって思いましたよ。

今回の公演は10/3に千秋楽の配信が見られるんすよね。

合法電子ドラッグが味わえる雪組公演、かなりオススメ。

全力を尽くして輝く人たちと、自分も確かに同じ時間を生きてるんだなつって、
そして多分そういう人たちが輝くためには観客っていう立場の我々も必要不可欠なんよなつって。

そういうのを思い出させてもらえましたね。心から。

座席の規制が終わった今でも1階1列は販売されてません。
しかしそんな座席の良し悪しなんかを超えた、心の届き方がする。

そんな舞台がそこにある、それだけでも希望ですよね。



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