jupiterからユグドラシルの不思議

今日電車の中でふと思った
BUMP OF CHICKENは"jupiter"から"ユグドラシル"にどうやって行き着いたのかと。

中学二年生の頃それは2002年
深夜のTVで見かけたPVでBUMPを知った。
ねぇいつからMVと呼ぶようになったのかしら。

まだトップ10までのヒットじゃなかったと思う。
友人の新村くんのお兄さんが彼らのCDを持っていて名前は朧げに聞いていた。

「新村くんのお兄ちゃんが好きだっていうなんとかキッチンのPV見たよ!」
「りっ(き)くん!BUMP OF CHICKENだよ(笑)」

私と新村くんはクラスは違ったので体育館に集合するその時に話した。
なぜかその瞬間のことはしっかり覚えてる。
小学生の頃、けんごくんが貧血で倒れた時より覚えてる。
忘れてなくて本当に良かったと思う。


彼らは瞬く間に日本中の少年少女を夢中にさせた。
当時ポルノグラフィティに心酔していた私も
とにかくBUMPのことが知りたくて、彼らみたいになりたくて仕方なかった。
まさにそれが14歳。中二、厨二とはよく言ったものだ。

新潟フェイズと言う今はもうない新潟の大規模な
東京で言うとzeppクラスのライブハウスがあってそこでBUMPを見た。
確か1曲目はバトルクライだった。
天体観測のリリースツアーだったのかな。
奇跡的に当日券が取れてTHE WHOのQUICK ONEが流れる中急いで会場に入った。今思うとなんで当日券なんてあったんだろう。不思議、ほんと不思議。

この日の新潟のライブは後日Rockin'on japan誌でメンバーも認める
盛り上がらなかったライブだった。
明らかに藤原&チャマは戸惑っていたというか苛立っていたと思う。
「掲げた拳はさげんな!」そう言ってたずっと。

この話はいつか思い出話でしたいのだけど今回はやめておこうね。

さてその後ハルジオンがリリースされて
ライブで新曲ですと言って演奏していた"メロディーフラッグ"が収録された
"jupiter"がリリースされる。
とにかく"jupiter"までが長く感じてインディーズ期の2枚と"ダイヤモンド""天体観測"をひたすらリピートする毎日だった。

この頃もう高校生になろうとしていた。冬だった。
Media Powerと言う大きな倉庫みたいなCD屋さんに学校帰りに母に連れてってもらってすぐに車の中で聴いた。
"stage of the ground"のイントロでもう何かとんでもない物語がはじまる気がした。

毎日毎日当時好んで聴いていたSHARPのCD/MDデッキで聴いた。
誇張でもなんでもなくて毎日何度も聞いていた。
"ダンデライオン"が終わってもかけっぱなしにしておくと
忘れた頃に流れ出す例のアレ。
もう一回聴こう。その繰り返し。

結局思い出話になっちゃうのよね。
BUMP OF CHICKEN、ポルノグラフィティ、スピッツ、GOING UNDER GROUND
これはもう話すなと言う方が酷ですよ。


もう本題に戻そう、力づくだ。

"jupiter"
当時は全く気が付かなかったけど
明らかに音が悪い。
悪いって言うとおかしいけど
音を重ねすぎてチリチリしてるし
なんか膜が張った感じだし。
ギターの音もペラっとしてるしベターっとしてる。
インディーズ期の"FLAME VEIN""THE LIVING DEAD"よりは洗練されてるけれど
荒々しくてごちゃっとしてる。
でもそれが本当にかっこよかった。これじゃなかったら違ったんだと思う。
00年のはじまりってこんな時代だったんだと思う。

2004年の夏
"ユグドラシル"がリリースされた。
"スノースマイル""ロストマン/sailing day""オンリーロンリーグローリー"
明らかに何かが変わった。それは当時の16歳の自分でもわかった。

隠し味程度だったアコースティックギターの比重が高くなり、
ギターの音が明らかに綺麗になった。
音も重なってはいるけれど一つ一つがくっきり聴こえるようになった。
ツインギター的な手法も今までのBUMPにはなかった。
いわゆるオルタナティブ的な曲調と音だった前作の"jupiter"とはすっかり別人だ。

サウンドも歌詞も何もかもがレベルが段違いのところに行っている。
当時は変わったなとは思ったけど20年後にこうして改めて聴くと
当時20歳ちょっとの彼らに一体何が起きたんだろう?と好奇心もあるけれど
同時に恐怖心すら覚えたのだった。

当時インタビューもたくさん読んだけれどいろんなことがあったようだ。
そりゃあそうだ。
天体観測でいろんなものが変わってしまったんだと思う。
自分が見ていないだけどもっと核心につく記事はあったかもしれない。
それはあえて調べないでおこうと思う。


"ユグドラシル"
は平成の日本のロックアルバムとして未だに語り継がれる作品になっている。
このアルバムはその後の日本のギターロックを決定づけたと思う。
BUMP以降BUMP以前はこのアルバムを境にしているのではないだろうか。

"ロストマン"の歌詞に9ヶ月を費やしたのはファンの中では有名な話だけれど
"スノースマイル"の時点で明らかにサウンドやアレンジの変化がある。
単にスタッフチームが変わったとかそういう外的要因ももちろんあるだろうけど
"jupiter"の完成から"スノースマイル"の完成までの間に藤原基央氏の中で完全に何かが芽吹いたというか、覚醒したのだろう。
そうでないとこの変貌は説明がつかない。
1stと2ndでこんなに化けた、孵化した人たちを私は知らない。
知らないだけかもしれないけどね。

その3年後の"orbital period"
中学生だった私ももう20歳になっていた。
これも相当なサウンドの変化があるのだけども
でも"ユグドラシル"からなら正当な進化に思える。

本当に彼らに何が起きていたのだろうか。
選ばれた人たちなのか、選びに行った人たちなのか。
それは自分にはわからないけれど
彼らのようになりたくて、なりたくてなりたくて
今こうして音楽をしている。

形は違うけれどこうして音楽をしている。





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