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これからのPTA —運営—

 これからのPTAは「これまで通り」のやり方を変えて、「入会したい」「参加したい」と感じられるようなPTAにアップデートしていく必要があります。(PTAのアップデート
 アップデートしてどのようなPTAの運営を目指すといいのでしょうか。

「入退会の自由」を前提とした運営

 これからのPTAは、「入退会の自由」を前提として運営することが必要です。
 そもそもPTAは入会を強制することはできませんが、これまで多くのPTAでは、全ての世帯が子どもの入学と同時に自動的にPTAに加入することで、「全員加入」を前提に運営されてきました。しかし、そのようなPTAの運営が「PTA問題」、すなわち「社会問題」としてマスコミなどで取り上げられることが多くなってきた中で、「PTAは入退会自由」であるということが広く知られるようになってきました。それにつれて、PTAを退会する動きも増えてきています。
 これまでなんとなく信じられてきた、「PTAは親の義務だから必ず加入・参加しなければならない」という考え方から、「PTAは入退会自由の団体・組織」であることを受け入れて、「PTAは加入したい人が加入し、参加したい人が参加する」と考え方を切り替えるタイミングに来ています。(PTAは保護者の義務なのか
 「入退会の自由」を保障する、「入会意思確認」を中心とした「手続きの適正化」はこれからのPTAの標準となってきます。
 「これまで通り」すなわち「全員加入」を前提とした運営のままで、「手続きの適正化」だけを進めれば、退会の続出、会員の激減が懸念されます。そのような懸念から「手続きの適正化」がなかなか進まなかったり、反対されたりすることがあるようです。しかし、PTAが「入退会自由」であることは変えようのない前提ですから、会員の激減を避けたいのであれば、「手続きの適正化」を進めながら、会員が激減しないような工夫が必要です。
 また、「全員加入」を前提としてPTA退会の意思表示に対応すると、「どうやってやめさせないか」と退会の不利益を工夫したりしてしまいがちです。
 これからのPTAは「入退会の自由」を前提として、「どうしたら退会したくならないか」「どうしたら加入したいと思ってもらえるか」を工夫して運営していくことが必要です。

強制のない運営

 現在、PTAが避けられている最も大きな要因は「強制的な運営」という点です。この「強制」の問題は「強制加入」と「強制参加」の二つに分けられます。「手続きの適正化」を進めて「強制加入」を解消するとともに、「強制参加」を解消する工夫が求められています。PTAが「入退会の自由」であることを前提として受け入れ、「手続きの適正化」を進めながら会員の激減を避けるためには、「強制」のない運営が必要になります。(「強制のないPTA」とは?
 これまで多くのPTAでは、委員・役員を選出し、その委員・役員だけが1年間のほとんどの活動に参加するような運営がされてきました。また、その委員・役員を選出するために、「子ども一人につき一回は引き受けなければならない」「子どもが卒業するまでに〇〇ポイント獲得しなければならない」といった「強制ノルマ制」で運営されてきました。さらに各家庭の意向や事情が考慮されないような選出が行われることも多くあるようです。「PTAを退会したい」と考えられるのも、この委員・役員選出のあり方が最大の要因だと考えられます。
 これからのPTAは、活動への参加を強制することなく、「活動に参加したい人が参加する」ような運営の工夫が必要です。例えば、委員・委員会を廃止しすべての活動を募集する「活動エントリー制」による運営で実現することができます。(PTAの活動をエントリー制にしませんか?)さらに、主体的に「参加したい人が参加する」ことで活動のあり方が変わります。(PTAで「活動エントリー制」を導入する意味
 「入退会の自由」を前提に「強制参加」をなくし「強制のないPTA」にすることで、「退会しなくてもいい」「安心して加入できる」PTAにすることができます。これによって「全員加入」から「入退会の自由」への前提の切り替えのタイミングでの会員の激減を避けることもできるはずです。しかし、それだけでは「退会しなくてもいいPTA」でしかありません。

目的を明確にした運営

 「『入退会の自由』を前提に、加入したい・参加したいと思えるPTA」これがこれからのPTA運営のテーマになります。
 これまで多くのPTAでは、加入したいか、参加したいかに関わらず、会員になり、活動に参加するような運営がされてきました。そこでの活動の多くは、「子どもたちのため」という大きすぎる理念のもと、活動の目的や意味を確認することなく、いわゆる「前例踏襲」で例年通りの活動が続いていることで、義務的で「やりがい」の感じにくいものになっていました。
 これからのPTAは、目的を明確にすること、その目的に沿った活動をすることが必要です。それによって、「入退会の自由」を前提として「目的に賛同して入会するPTA」「活動に参加するために入会するPTA」にしていくことができます。
 考えてみれば、「目的に賛同して入会する」「活動に参加するために入会する」ということは、どのような団体においても当たり前のことです。しかし、これまでの多くのPTAでは「自動入会」による「全員加入」を前提とした運営が行われてきたため、このような意識を持つ必要がありませんでしたが、「入退会の自由」が前提となるこれからのPTAには、明確な目的と、その目的に沿った活動が必要になります。

これまでに、以下のようなPTAの再定義を提案してきました。(PTAとは何か?=PTAの再定義)(PとTでAするPTA

PTAとは
子どもたちのよりよい教育の実現を目的に、保護者と教職員・保護者同士が、主体的に対等に課題を共有する中で、信頼関係を構築し、その課題の解決に向けて取り組む団体

 PTAの役割は「その学校に通う子どもたちのよりよい教育の実現」のために、保護者と教職員で「その学校の教育の課題」を出し合う場を作り、その課題の解決に向けた活動に取り組むことだと考えます。
 このようなPTAにすることができれば、「前例踏襲」で例年通りの活動をなくし、その時のリアルタイムの課題を解決することができます。さらには、課題を共有する中で、保護者と教職員・保護者同士の対等な信頼関係にもつながります。

これからのPTAの運営

 これからのPTAの運営は、「入退会の自由」が大前提になります。
 「入退会の自由」を前提として、入会も活動の参加も一切「強制」することなく、「その学校に通う子どもたちのよりよい教育の実現」のために、「その学校の教育の課題」を出し合う場を作り、その課題の解決に向けた活動に取り組むことで、「目的に賛同して入会するPTA」「活動に参加するために入会するPTA」にしていくことが、これからのPTAの運営だと考えます。


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