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従業員からの未払い残業代の請求を、無視し続けたらどうなるの?

皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、従業員からの未払残業代(未払い賃金)の請求を無視し続けたらどうなるのかという事についてお話したいと思います。未払残業や未払い賃金の請求というのは、結構増えています。特にこれは民法改正があり、未払残業の時効の期間が延びたという事があります。しかも、未払残業代については弁護士の間でもホットトピックで、過払いというものがなくなってきているので、今度は未払残業代だと、時効も延びるし、たくさんお金が取れるという事で労働者側の弁護士も増えています。そうすると、会社としては未払残業で訴えられることが増えていますが、中にはそんなものは無視だと言う会社もあります。ただ、それを無視するとどうなるのかという事を今日はお話したいと思います。

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最初は弁護士から内容証明が来る

どういう風になるかというと、最初は内容証明が来る事があります。弁護士から内容証明という形で未払残業を払うように言われる事があります。弁護士の内容証明なんていらないと、それを無視した場合にどうなるかというと、確かに内容証明自体に特に法的な効力があるわけではありません。ですから、それを無視したからといって直ちに何か不利益があるわけではありません。ですが弁護士から連絡が来ているという話になると、何かしらの法的請求をするという事が前提になっているわけです。それが弁護士の仕事ですから。なので、内容証明を無視した場合、例えば労基署に通報されたり、裁判所の手続きとしての支払督促、労働審判、訴訟をされる可能性があります。

未払残業請求の結末は?


労基署に駆け込まれると、労基署から注意を受けますので、行政から怒られる、最悪な場合は公表される、行政的な罰を受けるという事があります。
支払督促、労働審判、訴訟に関しては裁判所の手続きになりますが、まず、支払督促を無視した場合にどうなるかという話です。支払督促というのは実際の裁判が開かれるわけではなくて、書面上で完結する裁判になります。これに対して異議申立書を出せば、通常の出頭しなければいけない裁判に移行しますが、それさえ出さずに無視をするといわゆる判決が出て、会社の財産が差押えられる可能性があります。なので、裁判所からの書類を無視するとそういった事になってしまうというイメージです。
あとは、労働審判や訴訟をされるという可能性があります。労働審判と訴訟の違いについては細かい話になってしまいますが、いわゆる裁判だと思って下さい。労働審判は実際の訴訟よりも、よりぎゅっと短縮した原則3回の審議で終わる労働専門の裁判になります。この労働審判や訴訟を無視した場合にどうなるかというと、いわゆる欠席裁判という形になる為、労働審判であれば審判、訴訟であれば判決が下る事になり、全面敗訴という事になります。なので、あとから「いやいや、こういう言い分があるんだ」と言ったとしても、通用しない可能性があります。欠席裁判になって全面敗訴になってしまう可能性がありますので、裁判所からの通知を無視すると痛い目に遭う可能性があります。

判決が出てしまうとどうなる?

では、無視して欠席裁判となり判決が出たらどうなるのかというと、差押えになります。つまり、直ちに差押えというよりは、原告側が差押えて下さいという事で裁判所にいって、裁判所から差押えの通知が届くのですが、何を差押さえられるかというと、1番大きいのは銀行口座です。
判決があると銀行に弁護士会照会といって、弁護士会から例えばみずほ銀行や三井住友銀行などに対して照会ができます。この人の口座はありますか?何支店に口座がありますか?という事を教えて貰えるという制度があるので、そこに対して差押えがされるという可能性があります。なので、会社の口座が差押えられるという話になりますし、取引先などの売掛金が差押えられると取引先にも通知が届く事になります。あとは持っていれば、不動産、動産が差押えられるという事にもなります。つまり、財産に対して差押えがされる様なイメージになります。なので、これを無視しているとある日突然、差押え通知が来たという事になってしまいます。私にも相談が来ますが、「何でこれ、差押えされたんですか?」と聞くと、「実は、判決が出ていまして…」という話になる事も結構多いので、ここは注意が必要です。1回判決が確定すると、それを覆すという事は難しいので、注意が必要かなと思います。

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