IPO、バイアウトを目指す企業がチェックすべき「労働問題(残業時間、労働時間)」
皆さま、こんにちは。
弁護士をしております、中野秀俊と申します。
今日のテーマですけれども、IPO、バイアウトを目指す企業がチェックすべき労働時間問題、労働と労働時間というところですが、その問題についてお話をしたいと思います。
YouTube動画でご覧になりたい方は、こちら
https://www.youtube.com/watch?v=xHQH559v19A
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IPO バイアウトする際にどこを見る?
IPO、バイアウトというところですが、起業して会社を興した後、最終的な出口、ゴールはどうなれば成功なのかという1つの形としてIPOという新規の上場の場合と、他社にバイアウトとして売却をする場合があります。その際に企業の労働問題があるのかどうか、特に労働の時間や残業といった事は必ず審査されます。なぜかというと、リスクが高いからです。特に日本の場合は労働者保護、判例もそうですが従業員に有利、保護の国になっています。そうすると、会社側からするとそういった労働絡みの紛争があると、裁判で負ける可能性が高く、金額も大きなものになるので、必ず審査されるわけです。
勤怠管理・残業時間・残業代
では、どういうところが審査されるのかというと、まずは残業代や残業時間の部分になります。未払残業はあるのかというところですが、これはIPO、バイアウトの時点で徹底的に調べられます。もし、未払残業などがあれば清算するようにいわれます。その額は時効が3年なので、3年間遡及して支払わなければいけません。勿論、これからIPOやバイアウトを目指す場合は、雇用されている方の残業については、残業をさせない、残業があればきちんと払うという対応が必要になります。
あとは勤怠管理ですが、労働時間の把握は会社がきちんと管理をするという法律上の義務になっています。スタートアップやベンチャー企業だと、役員は必要ありませんが、従業員の出退勤の管理をタイムカードなど何かしらでしていれば良いのですが、その状況を全く把握していないというところもあります。「どういう風に出退勤を管理していますか?」「いえ、何もしていません」だと、結構困ってしまうなというところがありますので、ここはきちんと管理をする様にして下さい。
次に残業時間の問題ですが、これは前の動画でもお話しましたが、そもそも36協定というものを出さないと残業をさせてはいけません。日本の法律上、残業というものは原則禁止です。してはいけない事になっています。ただし、例外的に36協定というものを出しておけば、認められるという運用になっているので、当たり前に残業をさせてはいけないというのがまず大前提としてあります。残業も36協定を出せば無制限にできるかというと、今はそういう事はなく、1か月の上限残業時間が45時間です。特別条項というものがあり、それにあたると上限を100時間とする事ができますが、上限の拡大は年6回までです。今は働き方改革の影響もあり、労働時間に関しては労働局の方で非常に厳しく目を光らせています。なので、あまりにも長い長時間労働になると是正勧告などが出されてしまい、IPOやバイアウトができなくなってしまうという場合もあるので、ここは十分に注意をしていただければと思います。
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