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心の距離を縮めるライフチャート面談

中間面談シーズンを前にして、前回では、良い面談のために上司が持つスタンスとして大切な2つのことを書きました。

今回はその続きです。「上司の自己開示は意外に難しい!」そんなコメント受けて。

たしかに、普段の上司の発言を振り返ってみると、方針や業務など会社視点の話と、目標や業務進捗など部下視点の話をしていることが多く、自分の話をしている割合は極端に少ないのですよね。それ故、「いまさら自己開示と言っても何を話せば…?」と戸惑う方も少なくないようです。

ポイントは、挨拶と同じように、日頃から自己開示をしておくこと。そうでないと、普段何も自分の事を話さない上司が急に面談の場で自己開示を始めたら、何かあるのかな…?(怖!)と警戒されるかもしれません。ですので、普段から少しずつ自分の話をするように意識をしてみてください。

その際の話のネタとして、喜怒哀楽などの感情をあえて言葉にすることをお勧めします。自己開示の目的は「部下に、自分という人間を理解してもらい」、結果として良い人間関係に発展させていくことです。

そこでなぜ感情?と思うかもしれませんが、何に喜び、何に悲しむのか、その人らしさが表れ相手を知ることが出来るものだから。にも関わらず、感情は意外に職場では語られていないものだからです。

ビジネスに感情は必要ない、と言われます。もちろん意思決定に感情を持ち込むのはNGでしょう。ですが、人間関係構築においては感情は上手に伝える方が近道で、効果的です。

中でも、こんな事があって嬉しかった、楽しかった、と言うポジティブな気持ちは誰も聞いていて悪い気はしません。特に、部下に対しての感謝をはじめとしたポジティブな気持ちはあえて言語化して伝えてみてください。

さて、本題。上手に自己開示し、部下との心の距離を縮めるための面談方法を紹介しましょう。こちらは、じっくりと時間を使って自己開示をし、相手とお互いに理解を深めるのに効果的です。それは、ライフチャートを使った面談です。

ライフチャートとは、これまでの人生をふりかえり、その時々の充実度をグラフで表したもの。

過去をふりかえる方法はたくさんありますが、このライフチャートの良いところは感覚的に書けるところ。当時をふりかえりその時の仕事の状況や気持ちを思い浮かべた時、充実度はどうだったか。思い出しながら充実度のアップダウンを書いていきます。
また日々忙しいと、なかなかゆっくりと過去をふりかえる時間を持てないし、いざふりかえるにも時系列で何があったか思い出すのに一苦労なんてことも。それに対して、ライフチャートは短時間で容易に過去を思い出し整理できる点もお勧めできるポイントです。

ということで、さっそく自分のライフチャートを作成し、面談の準備を始めましょう。

STEP.1 充実度グラフを描く
縦軸は充実度(真ん中を0とし、-100から+100まで)、横軸は時間です。時間軸のスタートは幼少期からでも、社会人として働き始めた時でもOKです。ざっくりと西暦や自分の年齢を記載しつつ、その時の事を思い出しながら充実度を曲線グラフで記載していきましょう。
*「今ふりかえってみれば充実していた」というような視点はなく、当時の気持ちとしてどうだったか?という視点で描きます

STEP.2 出来事を書き出す
ざっと自分が描いたチャートの曲線、アップダウンを眺めながら、その時々の印象的な出来事を書き出します。
例)〇〇年〇月(〇歳)
同期が次々と初契約をしているが自分は成果が出ず、心が折れかけた…

STEP.3 転機になった出来事と得た学びを書き出す
特に自分の人生において転機になったと思う出来事を3つ選びます。
その時に自分が得た学びや考え方・価値観などを書き出します。
例)〇〇年〇月(〇歳)
同期が次々と初契約をしているが自分は成果が出ず、心が折れかけた…
→結果につながるプロセスを踏めているかどうかが大事。それを間違えれば努力しても結果につながりにくい。

STEP.1~3でライフチャートは完成です!
20分ほどでひととおり描けますので、時間の無い方は目安にしてください。

STEP.4 面談で話してみます
相手にライフチャートを見せながら、印象的な出来事や、そこから得た学びなどを相手に話します。適宜、相手からの質問や感想を聞きながらなので、最低でも20~30分は時間を確保してください。よりカジュアルな雰囲気を作るためにランチタイムに行なっても良いですね。

ライフチャート面談のイメージは掴めましたか?

この面談を行なうと…想像以上に、深く相手を知る(知ってもらう)ことができます。ただ過去の出来事を知るだけではなく、その中でどのような考え方・価値観を得てきたのか。それが今目の前の人の何に繋がっているのか。
部下に、上司の過去の紆余曲折、様々な経験が今現在の上司を作っていることを知ってもらい、人としての共感や、日々の発言や指導の背景の理解を促すことができるのです。

相互理解を深めるのにもってこいの材料となるライフチャート。上司だけではなく、部下・チームで共有する時間を持つのも効果的です。ザイアンスの熟知性の法則にもあるように、相手をよく知ることが肯定的な感情を生むことにつながります。良好な上司部下の関係作り、チーム作りをするために、是非ライフチャート面談を取り入れてみてください!

いかがでしょうか。

今日は、上司の自己開示について具体的な方法をお伝えしました。一通りここまで読んでいただいて、ライフチャート面談、ちょっとハードルが高いなぁ…と思われている方もいるかもしれません。ですが、クライアント先で実施していても、「やってみたら楽しかった」「今まで会話した事が無い内容を聞けて興味深かった」「色々話せてスッキリした」というような肯定的な感想をよく耳にしますよ。

ライフチャートを描くことは、部下に過去を棚卸しし意味付けさせる機会にもなります。単純に部下自身にとっても良い場になると思って、取り組んでみてくださいね。


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