バンド結成
校内で組んだバンドは、二つともギターがかなり難しい。
一から始めると覚えるまでに時間がかかりそうな曲ばかりだったが、Kが予め弾ける曲だったので、バンド全体が曲を覚えるまでには、そんなに時間はかからなかった。
メタルバンドの練習ばかりしていた私にとっては、オジーオズボーンやエクストリームのドラムは、寧ろ叩きやすくて楽しめた。
間違えることも滅多にないほど、この二つのバンドは、ドラムが完全に楽曲を下から支えるという役割をしていた。
一方、ミスタービッグは、ツーバスでドコドコと疾走するわけでないにも関わらず、小かず王というか、繊細なフィルが多彩に盛り込まれていて、尚且つ、ドラマーはコーラスも行う。
そこも一緒にカバーしたので、若干手間取った。
ミスタービッグの凄いところは、全てのパートが目立つという点だ。
ギターも速弾きが多く、ベースもギターのように簡単に弾くタイプの楽曲、ドラムは、おかずが多い。
そして、メンバー全員が歌が歌えるため、コーラスではハモる必要がある。
ハモリは、エクストリームに関しても同じだったが、あまりの難易度のため、エクストリームのコーラスは諦め楽器に徹した。
私はドラムを担当していたのだが、当時はどこもドラマー不足で、ギタリストは飽和状態。
ドラマーであれば、上手くなくても雇ってもらえる(お金をもらうわけではない)時代だった。
郊外で組んだバンドは、先輩の友人で別の高校に通っている人のバンドで、スラッシュメタルのコンパイレーション的なカバーバンドとして文化祭で披露する、もう一つは、同じメンバーで、ガンズ・アンド・ローゼスのカバーバンドで、ライブハウスで披露するバンドを掛け持ちした。
もう一つは、ベーシストOの中学時代の友人が組んでいる、レディースルームのカバーバンドで定期的にライブを行い、最後に校内の文化祭用にXジャパン、プリンセスプリンセス、リンドバーグのカバーバンドを掛け持ちした。
大忙しだったが、Xジャパンを除き、どれも覚えやすいし叩きやすいので苦労はしなかった。
Xジャパンは、ツーバスがとビートが速いというのが課題で、これは何度も練習を重ねた。
ドラマーの問題は、ギタリストやベーシストが家で練習できるのに対して、ドラマーは、家でドラムを持っている人の方が少なく、リハーサルスタジオに行った時が唯一、ライブキットを叩ける時だった。
それまではイメージトレーニングしかできなかった。
家での練習は、曲を覚え、自分の左腿の下側をスネアに見立て、両腿の上側をタムと見立て、右腿下側をフロアタムに見立てる。
この見立ての通りに曲を聞きながら叩いていく。
すべてはエアードラムになる。
もちろん、自分で個人練習の時間を取って練習するというのがいいのだが、そんなに金銭的にも時間的な余裕も持っていなかった。
空いた時間は、アルバイトで練習代や機材代、チケットのノルマ代を捻出し、複数のバンドで練習を続けていた。