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ゲームレビュー #6 鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚/PS4・PS5・Steam・Xbox One・Xbox Series X/S

#6 鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚/PS4・PS5・Steam・Xbox One・Xbox Series X/S
プレイ環境:PS4(純正コントローラー)

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爆発的人気を誇る週刊少年ジャンプ発のマンガ『鬼滅の刃』のゲーム化作品第1弾。
これまで様々なスマホゲーでコラボキャラクターとして参戦していたものの、純粋な原作のゲーム化は意外にもこれが初めて。
原作のヒットっぷりを考えたら1期アニメの途中ぐらいにはもう完成度もアニメの進行もどうでもいい!グッズを出せ!みたいな勢いでゲームぐらいは出てそうなものだが、この作品はそういうところを大事にされてるイメージがある。
アニメが原作に追いついてしまい、わけのわからん引き延ばしやアニメオリジナル展開をぶち込まれつつグッズも並行して出てたのを何度も見ていればこうもなろう。
なんて余談を初っ端から飛ばしつつ、レビュー行きます。


※※以下ゲーム本編のネタバレを多分に含みます。未プレイで気にされる方は注意。あと長いです。※※


・グラフィック

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アニメ原作のゲームとしては最高峰と言っていいほど素晴らしい出来。至高の領域に近い。
作画崩壊と無縁のアニメを見てる気分に陥るほどの没入感で、キャラクターは非常に滑らかに動く。

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また街中や森の中の全体像まで3Dでしっかり描かれている。
原作の考証などをしたかったファンにもありがたい要素だろう。

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戦闘のアニメーションカットインも完璧


・原作再現度

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グラフィックが最早アニメなら原作再現度も最早アニメである。
ソロプレイモードの『ヒノカミ血風譚』は「炭治郎の軌跡を追体験できる」という売り文句に偽りなく、原作・アニメのストーリーを丸ごとなぞる
ゲームの進行上カットされたシーンはムービーだけとして補完収録される。
要するにゲームのストーリーを進めつつムービーも見れば鬼滅アニメ1期は全部見たと言っても過言ではないくらいの再現度となる。


ただし、この原作再現度の高さはある意味では欠点になり得る。
なぜならば、あまりにも忠実に再現し過ぎたためにもうゲームやらなくてもアニメ見たらいいんじゃね?」となってしまう。

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オリジナル要素は街や森などフィールドの探索や、一部モブとの会話など限られたものであり、それらも別にカットしてもまったく問題ないような薄味な内容ばかり
原作にない原作キャラ同士の会話も無いことはないが、決して多くはないしそういったものに限ってCVが付いていなかったりと、惜しいところのマイナス点がある。
…そう思いながらプレイしていた。最終章までは。…続きは後述。


・操作性と難易度

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操作性自体は極めて良好。
フィールドは見やすく、目的地まではほぼ一本道で、ジャンプやスライディングで抜けられる道は印が付いてて、ルートの分岐は単純で、ボタンを押せば『炭治郎が匂いで鬼の居場所を感知』という特技が発動し、行くべき道へナビゲートされる。
最早道に迷う方が難しい。
フィールドのキャラクターの移動速度は率直に言って遅い
これは移動中に挟まれる会話や回想を消化するための時間調整の面もあるので仕方ないのだが。
それより問題は『想いの欠片』や『キメツポイント』などの拾えるアイテムの存在。

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『想いの欠片』は拾うと原作再現ムービーを見ることが可能になり、『キメツポイント』は集めることでオマケ要素のアンロックが可能になるもの。
これらはフィールド上に点在しており、特に分岐の行き止まりの方なんかによく落ちている。
何が問題かと言うと“急いで鬼を追ってるシーンなのにわざわざそれを拾いに遠回りする必要がある”ということ。

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ただでさえ遅い移動速度に加えてそんなの拾い集めてたら鬼なんか秒で逃げるだろ…と思わずにはいられない。
じゃあ無視すればいいじゃんと思うかもしれないが、これらを拾い集めないと対戦などで使えるキャラや衣装がアンロックされないのだ
『無限列車編』の炭治郎の夢の中にさえキメツポイントが現れるので、ストーリー上も結構台無しである。


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『ヒノカミ血風譚』における戦闘の操作性も快適。
ややこしいコマンド入力は必要なく、簡単に原作通りの技が出せるのは爽快。

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ボス戦の最後は大抵QTEが挿入され、これの成功によってトドメとなる。
このシステムは奇しくも『お姉チャンバラZ2 ~カオス~』と同じであr…いいかこの話は

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戦闘ごとにその内容の評価が下され、その評価の高さによってアンロックされるオマケ要素もあるが、たとえ死んでも最高評価が取れなくなるというデメリットと引き換えに何度でも復活できるので、アクションが苦手な人でも諦めなければクリアできる。

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そういったリトライ機能を抜きにしても難易度はさほど高くはないが、
強い敵と弱い敵の差が激しく、一部のボスは猛烈な勢いで攻撃を仕掛けてくるので注意。


・登場キャラクター数と対戦モード

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『ヒノカミ血風譚』では『無限列車編』までに原作に登場したキャラは全て登場するが、対戦などで実際に操作できるキャラは12キャラクター+公式スピンオフ『中高一貫!! キメツ学園物語』から登場の6キャラ=全18キャラ。
まず12キャラの内訳としても、鱗滝・錆兎・真菰・村田あたりはそこまでムチャクチャな人選ではないが「鬼滅の刃のゲーム一発目からプレイアブルにするか?」という感は否めない。
なんというか、柱も鬼もすべての主要キャラが登場しきった上で更に「えっそこまで網羅するの!?」と出てくるような人選なのだ。
また『キメツ学園』から登場する6キャラが本家の同名キャラと違うのは見た目・セリフ・奥義だけで、キャラの性能自体は本家とコンパチだし、そもそもキャラを6人も水増ししといて『キメツ学園』としてのコンテンツが何もないのが一番の問題点。
『キメツ学園』のゲームオリジナルストーリーでもあれば話は別だったのだが…。
まぁ今後DLCなどで増えることも予想されるので現状での評価は早計かもしれない。21年10月現在で猗窩座と累の参戦は決定しているわけだし。

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ストーリー上のイベントでのみ出て来た柱たちもグラフィックは文句の付けようがない高水準だったので、何らかの形で参戦した時も期待していいだろう。


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純粋な格ゲーとして見た場合の評価は微妙と言わざるを得ない
攻撃の種類が少ないため攻防が見た目にもワンパターンになりがちで、その中で初心者でも簡単に発動できるお手軽コンボで体力ゲージの4割5割はすぐに奪える
またキャラクターを2人選んで使えるタッグシステムなのに体力ゲージ等は2キャラで共有のため、追い詰められるとあっという間に決着が付いてしまう。
キャラの性能差も厳しく、コンボの起点にしやすい突進技を持つ炭治郎や義勇、煉獄さんがとにかく強い。
今後アップデートで調整はされるかもしれないが、純粋な格ゲーとしてバランスがアレコレ言うよりは、とにかく鬼滅キャラを動かせてることに楽しみを見出したい。


・その他マイナス点

ロードが頻回なのと、それが比較的長めなのはやや気になるところ。
また徹底した原作再現でストーリーが進んでいたのに、無限列車編に入ると途端にカットされるシーンが増えるのもイマイチ。

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具体的に言うと、夢の中で自害して覚醒するを繰り返す(のフェイントを伊之助が助ける)シーンはカット。QTEとしても使えただろうにもったいない。
炭治郎が運転手に刺されるシーンもカットのため、その後の伊之助の「あいつ死んでもいいと思う!」も煉獄さんの指導で炭治郎が呼吸でその傷の止血をするのも全部カットになってしまう。
さらに煉獄vs猗窩座はほぼ戦闘だけで話が進むので、いつからそこにいたのかわからない伊之助など進行上不自然な表現すら散見される。

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…まぁそんなことを言うと「全部完全再現してたらアニメ見てるのと同じじゃね?」などと言っていたことと矛盾するのだけど、ここまで来たんなら最後までやってほしいとは思ってしまう。


・最後のアレコレ


※※以下終盤の重大なネタバレを含みます※※



劇場版も大ヒットを飛ばした『無限列車編』の最大のポイントは「煉獄さんは死亡し猗窩座は逃げ切る」バッドエンドであるということ。
その死が炭治郎たちに多大な影響を与える重大なイベントではあるが、ずっと話が流れていく原作と違い、映画やゲームでは「ここからここまでが『無限列車編』」という区切りを付けなければならないため、必然的にバッドエンドを迎えてしまう。
では今作『ヒノカミ血風譚』も同じくバッドエンドなのかと言うと、なんとここまで原作再現を徹底していたのに最後の最後にゲームオリジナルの展開を迎える。


その展開とは“猗窩座戦後に炭治郎と死んだ煉獄さんが手合わせをする”というもの。

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結論を言ってしまえばこれは炭治郎の夢オチではあるのだが、「俺の継子になるといい」「面倒を見てやる」といった煉獄さんとの約束が一端とは言え遂に果たされることになる。
また煉獄さんからの最後の贈り物として煉獄さんの日輪刀の鍔が炭治郎に直接手渡される。
この一連の流れによって炭治郎が煉獄さんの死から立ち上がろうと動き出す動機付けとしては十分な説得力を持ち、バッドエンドに対する幾分かの救済を感じられる。
まぁさすがに鍔を手渡しするのは原作の改変になってしまうが、夢オチならまぁいいだろうと思えるくらいには綺麗に話がまとまるのだ。
個人的にはファンならばこのシーンのためだけでもこの『ヒノカミ血風譚』をプレイする価値はあると思う。


・総評

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原作の再体験という意味ではキャラゲーとして傑作と呼べる出来
何度も書くがアニメグラフィックは本当に素晴らしいものだし、最後のオリジナル展開は胸が熱くなる。
反面1本のゲームとしてのボリューム・やり込み要素の少なさ、難易度・自由度の低さはどうしても目立ち、いわゆるガチ勢向けというよりはライトユーザー向け・鬼滅の刃ファン向けなのは否めない。
ミニゲームも似たような2種類があるだけで遊びの幅が狭いことは否定できない。

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今後のDLCはあるのか。あったとしてシナリオなのか、それはオリジナルなのか、これから放送されるアニメ『遊郭編』に準じたものになるか、柱や鬼を先行してプレイアブル化するか、などなど一切が不明。
しかしとりあえず21年10月現在・今出せる鬼滅の刃のゲームとしては最適解だったのではないかと思う。
『無限列車編』以降も魅力的なキャラクターは続々登場するが、何しろ『無限列車編』が原作全23巻中の8巻まででしかなく、次のアニメ2期『遊郭編』まで入れても11巻までなので、アニメの進行に合わせていたら原作終盤のキャラのプレイアブル化は相当の時間がかかるだろう。
そんなキャラたちをゲームで見ることができるのは、全キャラを実装した特化型の格ゲーか、或いはオリジナルなRPGか、それ以外の何かなのか。
まだまだメディアミックスは続くと思うので、今後にも期待したい。



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