【2020/06/27】J2リーグ 第2節 栃木SC VS モンテディオ山形 「守備ブロックの崩し方」

今回は通常の文脈とは全く別の形式で、
地元クラブ、栃木SCの試合について考察できればと言う趣旨です。

試合結果は 0-1の敗戦。
ポイントは「モンディオが如何に栃木の守備ブロックを崩したか」です。

サッカーは進化の連続です。
ポゼッショナルな戦術に対抗するためにパスを引っ掛けるような守備ブロックの形成、守備ブロックを打開するために5レーンの活用やゲーゲンプレスといった異次元な戦術が出てきて…

昨日の試合はそんな「守備ブロック」と「5レーン」を理解するのには教科書的な、好ゲームでした。

試合の流れ
■前半戦
・最序盤は山形の3センターバックとボランチ1枚に対して栃木が前線4枚で追いかけ細かくつながせず、ロングボールを蹴らせる
・ボランチを使えない山形が長いボールをサイドに蹴ることでラインが下る
・ラインが下がったことにより栃木の中盤2枚とシャドー2枚が同数、セカンドボールが山形の手中に。栃木センターバック2枚と山形センターフォワード2枚も同数。スペースを突かれる形に。
・前半20分頃から栃木前線のプレスが落ち着き山形3枚のセンターバックが高い位置で積極的にショートパスをつなぐ。潰されたボランチのパスコースに、シャドーが1枚下りてくることでパスコースを作り散らす。危なげない試合運び
・山形2シャドーを掴みきれずチャンスというチャンスもないまま前半終了。

■後半戦
・両チームともにフォーメーションはそのまま、栃木は「受け方」を3センターに対して2枚のプレス、DFラインを上げるという微修正だけ加えて試合に入る
・50分ごろから山形DFがボールをつなぎにくくなり、GKに下げる場面や前から奪われる場面が出てくる
・50分ごろからはハマりはじめる栃木の守備と、栃木のプレスの連動をうまく交わす3センターバックの持ち運び、2シャドーの下りる動きとで五分五分。栃木はセットプレーの機会も増えはじめる
・70分ごろからは栃木の守備が完全にはまりショートカウンターの連続
・80分ごろからはパワープレー


■総括
「受け」のサッカーの難しさが如実に出た試合。
栃木は、ゴールの可能性がある場面がまったくなかったわけではないが、再現性のある攻撃の形は全くといってなかった。
昨シーズンから引き続き、田坂監督のサッカーは守備から入り相手の攻撃を受けるカウンターサッカー。受けのカウンターでは「個」で攻撃を完結させる攻めのタレントが必要。
エスクデロ、矢野、韓が「個」としての能力がないわけではないものの、それだけで試合を決められるプレイヤーでもない。
昨年は選手個人の「残留」への強い思い、ある意味では根性論のようなもので奇跡の残留を果たした形。今期は降格も昇格もないことを考えると、来季の昇格を意識した「組織としての攻撃の形の作り方」に期待したい。

いかに山形が守備ブロックを崩したか
■スタメン画像1

前半は山形は本田1ボランチ、大槻山岸の2トップに近いかたち。後半は中村が下がって来て2ボランチに近いかたち。栃木は終始4-4-2のかたち。

画像2

下記、ハイライト。
https://www.youtube.com/watch?v=HQGMVa_WyMg
・前半9分、何が起きたか画像3

栃木はサイドのCBの配給を止める目的で明本、大崎がCBまでプレス。
本田のコースをエスクデロが消し、中央のCBには矢野。
サイドのWBには栃木の両SBが抑える形に。

画像4

栃木の誤算はライン全体を上げて前からはめる狙いをロングボールで交わされたこと。
また、ロングボールを多用されてラインを下げさせられたこと。
低い位置でボールを回さてている分には怖さが無かったが、サイド一本のパスで数的同数作られる場面が何度があり、この9分の場面以降ラインが下がる。
FWのプレスのかける位置が下がったことによりハーフスペースを2シャドーに活用される

・失点シーン
https://www.youtube.com/watch?v=HQGMVa_WyMg

画像5

山形3CBが高い位置でボールを回せる

画像6

一本の縦パスで3枚を置き去り、山形中村の前には広大なスペースが

画像7

岩間がサイドのカバーにいかざるをえず、渡邉を誰も捕まえきれず…

・後半の修正
後半の70分ごろからはCBのラインを高く保てるようになり、前線のプレスも山形WBを栃木サイドハーフが見ることに

■ハーフスペースを活用し守備ブロックを崩す
https://www.tomex-football.net/entry/20180122/1516614284
こちらの記事かなりわかりやすくまとまっているが、
岩間ー佐藤、高杉ー柳が流動的に動く山形の前線に戦術的な要因で対応できていなかったのが大きい。

■素人目線での改善提案

画像8

こちらから仕掛ける術のないリアクションサッカーでは、前線に簡単に攻撃を完結できるだけのタレントがいない限りロングカウンターは成立しにくい。
なので相手のビルドアップを潰してショートカウンターという戦術をとるしかないわけだが…矢野とエスクデロがいい選手であることは間違いないが、リーグでも屈指か?ストログングポイントになりえるか?といったらそうではない。
ジエゴ・コスタとグリーズマンではないのである。あくまで数的優位/同数を生むためのピースとして使うべきだ。
相手のサッカーに合わせて守備から入ること自体は否定しないが、守備から入るサッカーを崩す手段が体系化されつつある中では、栃木がストロングポイントを攻撃で見つけられる一年を期待したい。

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