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20年目に入って、神保町について思うことつらつら

2月15日をもちまして、当店20年目に入りました。

これもひとえに、皆様の日頃のご愛顧・・・と、お礼はまた別の機会に。

ここでは、20年目を迎えて、これまで神保町で店をやってきたこの街の印象を、とりとめもなく、脈絡もなく、つらつらと書こうと思います。

これから神保町へ越して来ようとする方、ビジネスをしようとする方、遊びに行ってみようかなという方、などなど、参考になれば幸いです。


                  ※


「神保町」というと、とかく「本の街」「出版の街」「学生の街」「スポーツ店の街」などと言われることが多いが、20年近くやってきて思うのは、


案外、そうでもないかな。


「本の街」と言っても、もう今やネットで注文する時代だし、「出版の街」と言っても、もう出版関係の人が夜遅くまで飲む時代でもないし、「学生の街」と言っても、学生はうちでは飲まないし、「スポーツ用品の街」と言っても・・、「ロンドンスポーツ」にはよく行きます(笑。

どれをとっても、これが「街の色」だと、ことさら主張する向きはないし、僕のような商売も受け入れてくれて、案外「何でもあり」という懐の深さを感じる。


では、「何の色もないか?」と言われると、

「色があるようでいて、ない。ようでいて、実はある。」

ということになろうか。


何だかどこかの BAR みたいだ。


                   ※


「この辺、変わりましたね。」なんて言われることも多いが、20年近くやってきて思うのは、


案外、そうでもないかな。


確かに、最近お店の変わる頻度は増えてきたような気はする。お店のある錦華通りだけみても7〜8回変わったところもあって、早いところだと、2ヶ月経たずに撤退するところもあったりする。どんどん変化のサイクルは早くなっているのは事実である。


では、「変わったか?」と言われると、

「変わらないようでいて、変わっている。ようでいて、実は変わらない。」

ということになろうか。


なんかどこかの BAR みたいだ。


                  ※


この街の人たちが、神保町を語るときに特徴的だなと思うのが、

「だって、ここ神保町だよ?」

というものだ。

この街で、何かお洒落なもの、華やかなもの、高価なものを目の前にすると、やや自嘲気味にいう台詞である。

「だって、ここ神保町だよ。」

けっして蔑んでいるわけでもなく、かといって褒めちぎることもない。


なんとなく思うのは、「本当は好きな街なんだけども、あんまり知られ過ぎるのも嫌。」というのが本心なんじゃないか、ということだ。これも、愛情のひとつなのかもしれない、と最近思うようになった。


なんかどこかの BARのお客さん みたいだ。


                   ※


最近引っ越して来られた方が来店されると、口々に言う。

「いいところへ越して来たわ。だいたい夜が静かなのが良いわね。」

ほんとは良くない。


ただ、この街に来て良かったなとは思う。

少しだけ。


                     ※


何だか本当にとりとめなくなってきてしまったので、最後に一言。

民主主義を語るときに、

「民主主義の評価は、万歳二唱でよい。」という言葉があるが、

神保町を語るときに、

いつも思い出す言葉だ。


諸手を挙げて三唱は大げさだが、一唱では寂しすぎる。

二唱がちょうどよいそうだ。


神保町、バンザーイ、バンザーイ。

「マスター、ウイスキーダブルで。」

はい。


神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。

だんだん店が街と「同化」し始めている気がします(笑。

お待ちしております。


Faded Memories / bcalm
Bcalm
2020

(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)

サポート頂いたお金は、お店でかける音源の購入に充てさせていただきます。