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「なにを飲むか」より「いつ飲むか」

「せっかち」である。

社会人になったばかりの頃、最初に就いた上司が「これからの技術者はゴルフくらい覚えておいた方がいいだろう。」と、自宅の近くの「打ちっ放し場」へ、部下数人と一緒に誘ってくれた。皆、初心者同然で、へたっぴながらも楽しく打ち終わって、その上司のお宅へお邪魔する事に。奥さんも手料理を用意して待っていてくれた。皆がテーブルに着いているのに、僕だけが「運動の後にシャワーを浴びないなんて考えられない。」と、一人許しを請うてシャワーを浴びさせてもらった。上がってくると、皆にも「神聖な食事の前に君らも浴びるべき。」と促し、全員浴びる事にさせた。いちばん下っ端からの命令である。渋々皆が浴びて上がってくる頃には、奥さんの出してくれた前菜の小鉢をすっかり平らげて、ビール片手にご満悦、てな具合だ(笑。


どうも、その「せっかち」の根本原因を探ると、以下の点に尽きると思う。


1、「順番を大事にする」

2、「出されたものを出された状態で食べ切る」


これはお店に立っていても同様で、


まず、

僕はお客さんからの「何か、おすすめはありますか?」という問いには、必ずこう答える事にしている。

「これから何を食べに行きますか?」

あるいは、

「今日は何を食べて来たのですか?」


人にものを勧めるときに、こちらの用意したものをそのまま勧める事はまずない。(一応「今月のおすすめ」というメニューは作ってありますが・・)

こちらのお勧めが、今日の、その人の、「順番」に合致するとは限らないからだ。

「俺はこの銘柄しか飲まないぜ。」と言って、真夏の一杯目から度数の高いウイスキーをストレートでやろうとする輩もいるが、一旦はソーダ割りをお勧めする。


「なにを飲むか」より、「いつ飲むか」が大事である。


もうひとつは、

僕はかなりの「早食い」である。そのひとつの理由が、「出されたものを出された状態・温度で食べ切りたい」というのがある。

これは、料理やカクテルは、出された時がいちばん美味しいわけで、時間が経てば当然味は落ちる。「早食い」は、最後まで美味しく食べ切りたいという意思の表れだし、それが作った人に対する礼儀だと思っている。


「なにを食べるか」より、「どう食べるか」。


舌を火傷するのは、名誉の勲章くらいに思っている。


てなわけで、うちの店に来ると、そういったことがちゃんと遂行されているかどうか、店主が見て見ぬ振りをしながらも、常に気に掛けております(笑。


「私、猫舌なの〜。」と、ピッザにいつまでも手をつけないと、


冷た〜い「ジン・リッキー」を無理やり頼まされるかもしれません(笑笑。


熱いピッザのお供にどうぞ。



神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。

ちなみに、皆のブーイングを尻目に、奥さんにはとっても喜ばれました。

お待ちしております。


All We Do / Matt Quentin
College Music Records
2019

(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)

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