【詩の翻訳】暗黒街/オスカー・レルケ
暗黒街
暗闇の中で私は
自分の街がもうわからない。
黒く汚れたチョークでできた深淵を
街が雲からこちらへ垂らしている。
通りは一層狭苦しくかすめ過ぎる
家々の醜い顔を前に、大きくぐねぐねと。
引っ掻いた傷の跡が、
窓の列で声もなく滴り落ちる。
岩盤が虚ろにガタガタ音を立てる。
私は家の前にいる。
そこでは私の立てる音と影が
ドアを入ったり出たりしている。
Osker Loerke: „Unterwelt“, In: „Deutsche Gedichte für die Hauptschule”, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Frankfurt a. M.: Diesterweg 1966, S.83.
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