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活用事例|my groove さんだ ー デジタルプラットフォームを通じた市民参加に、必要な視点とは? ー

株式会社Groove Designsが提供するサービス「my groove」は、地域で活動する人々のアクションと共創を支援する、まちづくりに特化したデジタルプラットフォームです。当社が培ってきた地域まちづくりのノウハウとデジタルテクノロジーを融合し、行政・市民・企業による“共創まちづくり”を推進しています。

本記事では、兵庫県三田市が公開した「my groove さんだ」の事例をもとに、担当職員の所感、振り返りを踏まえながら、市民・地域との共創を実現するデジタルプラットフォームを運営する上で必要な視点について紹介します。

実証実験に取り組んだ三田市担当課(スマートシティ推進課、政策課、健やか育成課)、(株)Groove Designsのチーム。

「my groove さんだ」とは?

「my groove さんだ」は、三田市が実施する事業を市民と共に創り上げるために、令和4年度に実証実験として設置したプラットフォームです。
市民が気軽に、かつ主体的に参加できる環境を整えることを目的に、市民参加型の2つの事業(「めざせ!みんなでつくるこうみん未来塾のお祭り」「育てよう!私たちのSDGsさんだの木」)の進捗状況や活動情報を発信しました。また市民からのリアクションや意見・アイデアの投稿を受け付けることで、市民参加型での事業推進に取り組みました。


「my groove さんだ」上で行った取組みは?

「my groove さんだ」は、以下2つの事業の概要説明やイベント開催案内、イベント開催レポート、などの情報が一元化されたポータルサイトの役割を果たしました。
 
①子どもの育成プログラム「こうみん未来塾」
科学技術への親しみやグローバルな活躍を目指す子どもたちを育成するためのプログラム。地域や教育機関、民間企業と協働し、子どもたちに本物の体験を通じた学びの機会を提供しています。「さんだサイエンスフェスティバル」は「こうみん未来塾」最大のイベントです。

昨年8月開催の「サイエンスフェスティバル」から(実施レポート記事へ|my groove さんだ)

②三田市のSDGs推進事業「わたしのSDGs宣言」
日常生活でのSDGsに目を向けて、自ら実践したい取り組みを宣言し、実践状況を広く共有することを目的としたキャンペーン(実施期間:令和4年7月15日 〜 令和4年12月25日)。12月には市民から寄せられた「わたしのSDGs宣言」を「わたしたちのSDGsさんだの木」として装飾・展示しました。(@市役所1階ロビー)

昨年12月開催の「わたしたちのSDGsさんだの木栽培ワークショップ」から(実施レポート記事へ|my groove さんだ)


「my groove さんだ」の特徴

特徴としては、単に時系列に沿って実施したことを並べるのではなく、事業の進捗状況に合わせてステップを区切り可視化していることです。

ワークショップから展示、最終成果の報告(振り返り)の流れをステップごとに時系列で追える。

ステップを区切ることで、その各ステップの取組みをより深掘りして発信していくことが可能となります。リアルな場の雰囲気を伝えたり、前のステップの活動のアーカイブ情報としていくことができます。

ハードル低く回答できるワンクリックアンケート。ユーザーの関心を測る。

また、一方的に情報発信を行うだけでなく、市民がどのように興味関心を持っているのかを把握しながら取組みを進めるため、下図のようなワンクリックアンケートや意見収集を実施しました。こうした取組みにより、市民が参加しやすくなる環境づくりと、市民と行政の双方向での事業推進を目指しました。


「my groove さんだ」の運用プロセス

本サービスの運用にあたり、3つの段階を設けました。
はじめに、各担当課の方々へヒアリングをしながら、各事業が目指す方向性を整理して、目的やターゲット、目標、ビジョンなどを明確化および言語化を行います。当社では、地域まちづくりの経験・ノウハウを活かし、単にツールとして提供するだけではなく、事業目的の整理や事業終了後の理想像などを、担当職員の方とディスカッションしながら伴走していきます。

これにより、プロジェクトで何をすべきか、担当職員の方にとっても事業のねらいやTODOが明確になり、進めやすくなります。

事業の目的を振り返りながら、my groove活用の目的や目標を設定。ヒアリングを重ねて運用の方針を決めていく。

これらの目標にフォーカスし、達成するために必要な情報をプラットフォーム上で掲載・発信しながら、意見募集を行います。
 


「my groove さんだ」運用で得られたデータ

「my groove さんだ」運用では、プラットフォームを訪問した方々の参加意欲をデータに基づいて把握しています。
 
・平均滞在時間は6分弱。1回の訪問で参照されるページ数も6ページ弱。
・直帰率(訪問した際に1ページだけ参照して離脱する割合) は約42%。
・本実証期間を通じた参加アクション数(my groove さんだ上で行える意見投稿やリアクション、参加意欲表明などの数)は475件。
 
テーマや地域に特化したサイトであることから、興味関心のある方々が集まり、平均滞在時間や回遊率が比較的高い状況にあります。
 
また、チラシ配布などの能動的な広報から「my groove さんだ」に辿りつく方だけでなく、Googleなどの検索から「三田市SDGs」「三田市イベント子ども」などのキーワードで、自ら調べて「my groove さんだ」に辿りつく方がいることも、ポータルとしての特徴になっています。


 ポータルとしての運用上の課題は?

当社が様々な地域でmy grooveの導入を進めるなかで、以下3つの活用分類がみえてきました。
 
1)計画策定などのプランニング型活用
2)地域活動の可視化をベースとしたアクティビティ型活用
3)地域の多様なプロジェクトを扱うポータル型活用

「my groove さんだ」は、3)のポータル型活用の事例となります。
三田市における市民参加型で取り組む複数の事業について掲載したことで、それぞれの活動内容がわかりやすく共有された一方で、デジタルプラットフォーム自体がまだ行政も市民もなじみがない段階であるがゆえに、ポータルとしての認知度を高めていくことが難しいという点もみえてきました。
 
まずは、プランニング型活用や、アクティビティ型活用によって、特定プロジェクトで市民との共創のきっかけをつくる→それらを展開してポータルとして定着させていくという形であると、より市民にとって馴染みやすく、持続的な活用につながるということも見えてきました。
 
このプロジェクトではどのようなパターンに該当するか?どうしたら効果的な使い方ができそうか?など、ご相談は無料でお受けしています。まずはお気軽にご相談ください。 


Q&A my groove使ってみてどうだった?(三田市・Groove Designs座談会より)


座談会参加者:三田市職員※1、株式会社Groove Designs※2
※1:健やか育成課/佐藤さん、小橋さん、政策課/増田さん、大槻さん、スマートシティ推進課/岩崎さん
※2:三谷、東

健やか育成課 佐藤さん(左)、小橋さん(右)

Q:「my groove」導入に至った経緯と、サイエンスフェスティバルに活用する上で期待したことを教えてください。
佐藤さん(健やか育成課):従来のサイエンスフェスティバルは、大人の参加者がやりたいことを持ち寄って出展し、子どもたちに楽しんでもらうイベントでした。けれども、子どもたち自身でイベントをやる方が面白いと思い、子どもたちの意見を募集する場を設けて、彼らの思いを反映させたサイエンスフェスティバルを開催することにしました。そこで「my groove」で、子どもたちが興味関心を持っていることを追求して、それらを他人に伝えるなかで成長してもらえたらと思い、活用を決めました。
 
Q:実際に「my groove」を活用してみた感想を教えてください。
増田さん(政策課):取り組んだことを記録・保存し、市のホームページや「my groove さんだ」を通して発信すれば、自分たちの活動を振り返られるだけでなく、他事業の取り組みを知ることができて、相互連携やコミュニケーションが取れると感じました。
 
Q:「my groove」を使ったことで、事業の進め方などに変化はありましたか?
増田さん(政策課):今年度からSDGsに取り組むことになり、具体的に何をしたら良いか、実際にやりながら次の活動を考える状況でした。そんな時に、my grooveを使ってみることになり、効果的な発信のため、コンセプトや考え方をGroove Designsさんと一緒に情報整理をしたことで、何をするべきか、また、どのように進めていくかなどのヒントをもらうことができました。
 
Q:「my groove さんだ」全体の振り返りや感想をお願いできますか?
三谷(株式会社Groove Designs):最初に担当者の方とお話をさせていただいた際、やりたい事業のイメージや、市民の方に参加してほしい熱い気持ちがとても伝わりました。しかし、「市民参加」という言葉は抽象的で、そもそもの事業目的や実施背景、具体的な参加方法は薄れてしまいがちです。そこで、当社からカウンセリングのように話し合いをしながら、リアルとデジタルのそれぞれに合わせた表現方法や意見収集方法などを明確化し、実施フェーズごとの目標に落とし込めたことで、良い相乗効果を生み出せたと思います。

政策課の大槻さん(左)、増田さん(右)

Q:データの可視化による新しい気づきはありましたか?
岩崎さん(スマートシティ推進課):アクセス数や滞在時間などのデータの可視化は、(運用する上で)とても大事だと感じました。「この記事のコメントがいくつだった」といった単なる数字の良し悪しで効果検証するのではなく、実際にどれくらいの人がアクセスして、どのような経路で閲覧しているか、などの詳細がわかるだけでも一歩前進だと感じました。
 
Q:行政がデジタルを活用することのメリットは?
東(株式会社Groove Designs):リアルな場への参加となると、市民の皆さんにとっては色々なハードルや負担があるなかで参加してもらったり、そもそも参加できない方も多くいらっしゃると思います。デジタルを活用すれば、他の参加者の意見が可視化されるなどのオープンな空間が生まれて、参加するまでのハードルが低くなることもあります。また、行政の担当者にとっては、リアルのワークショップは1回開催して施策の検討に繋がるアウトプットが得られなかった時に、やり直しが難しいということもあると思いますが、少しずつ意見を聞いて改善しながら取組みを進めやすい、というのもデジタルのメリットだと思います。
 
Q:「my groove さんだ」上へ集められた意見は、次年度以降のサイエンスフェスティバルにどのような影響を与えそうですか?
小橋さん(健やか育成課):最終的にはイベント内で実施したアンケートにより158件の意見を集められたので、子どもたち自身が企画し子どもたちが運営するサイエンスフェスティバルができそうだと自信が湧きました。従来までの「やりたい」という単なる願望ではなく、「この意見があったからやります」という説得力のある言動ができるようになるはずです。「my groove さんだ」によって、子どもたちの思いを具体化するためのきっかけをもらえました。
 
*本記事Q&Aは、三田市役所内で令和5年3月に市職員を対象に開催した「デジタルを活用しながら市民参加をどうデザインするか?~市民参加プラットフォーム実証実験報告会を開催~」の座談会から抜粋しています。

[庁内スマートシティセミナー座談会の様子(所属課は令和4年度当時)]

各事業の実施報告や事後展開は「my groove さんだ」内にて掲載されています。

<めざせ!みんなでつくるこうみん未来塾のお祭り> 

【結果発表】みんなのやってみたい!が大集合!!これまでのイベントで出た意見まとめ|my groove さんだ

【新企画】令和5年度さんだサイエンスフェスティバル 「子どもブースプロジェクト」始動!|my groove さんだ

<育てよう!私たちのSDGsさんだの木>

【12月4日開催】 わたしたちのSDGsさんだの木栽培ワークショップレポート|my groove さんだ

【皆のSDGs宣言文】いただいたSDGs宣言文をご紹介します。|my groove さんだ

2023年6月30日には三田市ホームページにて実証実験報告書が公開されました!詳細はこちらからもご覧いただけます。

「my groove」導入を検討されている行政・自治体職員さまへ

 

「my groove」に関するお問い合わせやご相談は、こちらからお願いいたします。

お問い合わせいただいた方には、他地域の事例や詳細のご説明に加え、無料でサービスのデモをお見せします。

また、まず一度自分たちの事業に当てはまるか相談してみたい、というようなカウンセリングについても無料でご対応しています。お気軽にお問い合わせください。


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Groove Designsではmy groove展開や地域での市民・地域主体でのまちづくり推進のコンサルティングなど多様な活動に取り組んでいます。
「人とまちの関係性をデザインする」というミッションにピンときた方は、ぜひご応募お待ちしています。


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