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[ディスコの日記念]昭和のディスコ歌謡を教えてもらおう!

7月某夜。
私が帰宅しようと村の目抜き通りをポクポク歩いていると、この村唯一の居酒屋の店先にテーブルを持ち出し、瓶ビールをラッパ飲みしているひとがいました。

私:あれ?呈茶先生じゃないですか。ご無沙汰しています。

呈茶先生(以下"呈"):おぅひさしぶりだな、今帰りか?

呈茶先生は関東近県ご出身、永いこと都立高校の教員を歴任され、現在は某教育委員会にて要職に就かれています。

呈:まぁ一杯どうだ。奢るぞ。

私:そりゃありがたい。
すみませーん、私にもCBDビールお願いしまーす。
カンパーイ!

呈:暑くなってきたなー、早いものでもう7月か。

私:そうですね、ビールがますます旨いです。
7月といえば今月22日って「ディスコの日」だったってご存じですか?
日本記念日協会が2018年に認定したそうですけど。

呈:寡聞にして今はじめて知った。
なんでその日なの?

私:1978年に映画「サタデー・ナイト・フィーヴァー」が日本において公開された日、という理由だそうです。

呈:なんじゃそのぬるーい理由は。
たしかに映画公開当時は、社会現象を巻き起こすほどの影響力だったけどな。

私:「ディスコでフィーヴァー」とか言ってたんでしょみんな。

呈:言ってた。俺も言ってたと思う…。

私:恥ずッ!
私のような若輩者が、あとから年代を追って知識として知る以上に、そのときその場に身を置いた方々には鮮烈な体験だったでしょうね。
でもいいよなー昔は。
全国津々浦々にディスコが林立してたんでしょ?

呈:んだしゃ、この村にも何軒もあったずら。
この先の五平新田にある公民館も昔はディスコじゃったもんせ。

私:どこの村だよ。
先生は高校教師のくせに夜遊びばっかりしてたそうじゃないすか。
ウチの親父からよく聞いてます。

呈:おぉ、Kちゃん元気か?今いくつんなった?
還暦近いの?教え子がもうそんな歳になってんの?
めげるなー…。
あ、そうだ、あいつが高校生だったころ「すなっくらんど」で貸した500円、いいかげんに返せって言っといて。

私:なんだよ「すなっくらんど」って…
なんなら今私が返しますよ…はい。

呈:ラッキー。
なんだか孫から小遣い貰うみてぇな気分だな。

お酒も進み、大昔のディスコとか興味深いお話も聞けたのですが、暫時割愛。

呈:てなわけで結局は大衆音楽なんだから、お互い影響を与え合ってたんだよな。
70年代後期には、ロックやジャズの連中も時流に乗ってディスコ・ヒットを狙った曲を作ったし、歌謡曲にもディスコの波は押し寄せて…

私:つかさー、当時のことを聞けるのはいいんだけど、どーも話が理屈っぽくてクドいんだよなー。
そーゆーとこ、生徒からも煙たがれてたんじゃねえのーきっと。

呈:うわぁ、酔いが回って心の声がそのまま口から出ちゃってるよ…
そろそろ帰ろっかな俺。

私:まだじゃ!まだ酔っとらん!
今、歌謡曲って言ってまぎだね。
私は当時の歌謡曲ってほとんど知らないんでずげど、どんな曲があっだんでづが?

呈:めんどくせぇなぁこいつ…
じゃあ手短に、俺の印象に残ってる曲を並べてみるよ。


♪西城秀樹「HIDEKI DISCO SPECIAL」(79年)

呈:メガヒットとなった「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」のシングルB面だった。
謂わばDJユースに合致したダブルサイダーだな。

私:おぉ!めちゃくちゃカッコイイ!
時々どっかで聞いたことあるフレーズが出てくるけど、メドレーを乗せてるディスコ・マナーがっつりのアレンジ、素晴らしいです!

呈:ヒデキ、やっぱ歌上手いなぁ。

♪松崎しげる「銀河特急」(78年)

呈:歌が上手いと言えばこの人も外せない。

私:あ!あの真っ黒なおじさん!
こちらは超ロマンチックなフィリー・ダンサーじゃないですか。
後ノリのエレピとか上品な弦の乗せ方とか最高です!

呈:筒美京平が神がかってたなー。

♪浅野ゆう子 「ムーンライト・タクシー」(76年)

呈:これも筒美京平、バックはサディスティックス。

私:それじゃ高橋幸宏さんと後藤次利さんのリズム隊かぁ!
ブリブリのベースがドライヴしてるー!

♪大橋純子「シンプルラブ 」(77年)

呈:こっちは美乃家セントラル・ステイションがバックに付いていたころだね。

私:尊敬する土屋昌巳さんのギター!
間奏のソロがエイモス・ギャレットさん並みにとろけてます!

呈:国内のディスコでも人気があって、英語詩の別ミックス版もあったよ。

♪中原理恵「ディスコ・レディー」(78年)

呈:ムード歌謡にディスコの香りをふりかけたっていう好例かな。

私:フラメンコ風の曲調が哀愁たっぷりです。
これも筒美京平さん!すごいなー。

♪桑名正博「セクシャルバイオレットNo.1」(79年)

呈:作詞・松本隆、作曲・筒美京平コンビといえば、この曲も地方のディスコで良く流れてた。

私:元ファニー・カンパニーの桑名さん、やっぱりいい声です。
リズム隊のファンク感が曲調にピッタリですね!

♪アン・ルイス「恋のブギ・ウギ・トレイン」(79年)

呈:桑名正博の元奥方もいい曲歌ったよ。
吉田美奈子、山下達郎コンビの軽快なブギーが悪かろうはずがない。

私:この曲の英語詩のリミックス版は私もよく聴きました。

呈:松木恒秀のギター、渡嘉敷祐一と岡沢章がボトム、清水信之の鍵盤、もちろん吉田美奈子のコーラス。

私:超重量級のメンバーです!

♪松原みき「ニートな午後3時」(81年)

呈:フュージョン系の四つ打ちといえば小田裕一郎・大村雅朗の作編曲だね。

私:”NEET”じゃなくて”Neat”の方なんですね。
爽やかなスウェイ・ビートがそこはかとなく西海岸ぽいです。

♪香坂みゆき「流れ星」(80年)

呈:派手なブラスを楽しむならこの曲なんかいいぞ。

私:なるほど、新田一郎さん作編曲でスペクトラムの面々がバックを固めていますね。
その他のメンバーも贅沢だなぁ。

♪ピンクレディ「マンデー・モナリザ・クラブ」(79年)

呈:歌謡曲+ディスコといえば、トドメはこれだ。

私:プロデュースがRobby Adcockさんって書いてある!
でL.A.録音ってことは、当時の西海岸ディスコ・シーンのプロダクトということですか。

呈:都倉俊一という怪物が、丸飲みして発酵させたディスコをカタマリで吐き出したって感じかな。


私:あらためて歌謡曲のクォリティの高さ、懐の深さを認識しました。

呈:ディスコのエッセンスを取り込んだ歌謡曲は、70年代半ばには散見できた。
その後五年ほどの間に、これらの曲が生まれるまでに消化したわけだね。

私:こういった実績がブラコンやグラウンド・ビート、EDMなどとの融合にもつながってゆくんですね。

呈:古くはラテンやサンバ、シャンソン、ロック、もちろんクラシックも取り込んできたし、すごくタフな世界なんだな。

私:今日は大変ためになるお話、ありがとうございました。

呈:お前の腹のうちはわかってるから、ことさら丁寧な態度を取らんでもいいぞ。

私:あじゃぱー!(←昭和)


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