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まちづくりコーディネーターに必要な10のこと

少し前に、神奈川県の多世代居住のまちづくり担い手養成講座の講師をさせていただきました。その際、質問で「まちづくりのコーディネーターになるにはどうしたらいいのか?」という投げかけをいただいたのですが、その時にあまりうまく答えられなかったので、改めて考えてみました。


まちづくりのコーディネーターとは?


前提として、「まちづくりコーディネーター」は、職業としては実はほとんど存在しません。(ここでの職業というのは、それを主な生業としてお金をもらっている状況を指します)

まちづくり会社やアーバンデザインセンターなど、それ自体を事業目的としている組織では、〇〇コーディネーター、〇〇ディレクター、〇〇マネージャーといった形で、専業コーディネターとしての仕事は存在するものの、まちづくり活動をコーディネートするって具体的に何をするのか? どうやってお金をつけるのか?ということを明確に位置づけるのは難しく、職業として成り立たせるにはハードルがあるのが現実です。

しかし職業ではないものの、まちづくりコーディネーターの役割を果たしている人はたくさんおり、まちには不可欠な存在です!
ここではその「役割」としてのまちづくりコーディネーターについて書きたいと思います。

コーディネーターの役割

私のように専業でまちづくりコンサルタントをしている人も、仕事の重要な部分はコーディネートだったりします。
コーディネートを辞書で調べると、以下のようにでてきます。

コーディネート
coordinate (名) ① 物事を調整し,まとめること。/ ② 衣服や装身具などの,色材質形などを調和させて組み合わせること。(大辞林より)

端的にいうと、①の「物事の調整・まとめをすること」がコーディネートの主な仕事です。この「物事」の部分を、人の意見・条件・方針などに置き換えてみるとわかりやすいです。

一方、②の「調和させて組み合わせること」も必要となります。例としては、まちづくりの取り組みに必要な人を連れてきたり、そういった人と組んでプロジェクトをつくりあげたりということがあります。この場合は、プロジェクトデザインの視点を持ちながらコーディネートを行います。

まちづくりコーディネーターは職業ではない、と書いたように、まちづくりや都市の専門家だけではなく、誰もがコーディネーターになり得ます。まわりを見渡してみてみると、ああこの人がコーディネーターなんだな、と思う人はいませんか?
様々な想いをもった人たちが同じ方向を向き、目的を達成するための潤滑油の役割を果たすのがまコーディネーターといえるのではないかと思います。

以下は、まちづくりコーディネーターの役割を果たす人に大切にしてもらいたいこと、必要なスタンスなどを私なりにまとめてみたものです。
講座に参加いただいた方や、コーディネーターとして役割を果たしたいけど、どんなことをしたらいいの?という人の参考になれば嬉しいです。※あくまでも私的見解です。

まちづくりコーディネーターに大切な10のこと


1.「相手が本当に言いたいこと」を読み取る
コミュニケーションのなかでも、スキルとして意識することでいえば特に「受け取る力」が必要だと思います。
さまざまな人との会話を通じて、このひとは本当は何を目的として、何をしたいと思っているのか? 表面的な言葉からは読み取れない部分も多々あります。まずはまちづくりに関わる「人」を理解することからはじめましょう。会話の節々で、「それってこういうことですか?」と認識や要点を確認することを心がけると良いと思います。


2.課題を整理し、方向性をまとめる
まちづくりは関係者も多く、課題も複雑に入り組んでいます。
様々な人の話や状況、課題を整理し、どうしたらまちづくりの目的や目標を果たせるかというロードマップを描きましょう。関係者が多くなってきたときには、どこに向かうのかをわかりやすく共有することで、ひとつのものごとに向かいやすくなります。

3.全体に目配せし、情報を共有する
関係者間できちんと情報を共有するよう務めることも大切です。まちづくりの当事者間では、情報共有が意外とおろそかになりがちです。
一見些細なことに思えますが、誰かが勝手に決めた、私はそんなの知らなかった、ということが積み重なりプロジェクトチームが崩壊することもあります。コーディネートを担う人は、必要な情報がみんなに行き渡るよう意識しましょう。

4.それぞれがやってきたことを認める
「いま」行なっているまちづくり活動は、きっと誰かがこれまで積み増さねてきた実践の上にあるものです。過去の取り組みを否定したり、批判することは簡単にできますが、未来がよりよくなるよう、今何ができるかを考えるために、これまで実践してきたことを、成功も失敗もひっくるめて認め合う必要があるのではないかと思います。まちづくりの人間関係はここからはじまります。

5.目的をつねに振り返る
活動を進めていくと、徐々に「目的」がみえなくなりがちです。
〇〇を目的に、イベントをしようとなったとき、イベントが盛り上がれば盛り上がるほど、その「イベント」自体が目的と錯覚するようになります。
当初の目的はなんだったか?どんなまちを目指しているんだっけ?前回のイベントでは何が達成できて、次は何をするべきか?というところに立ち戻って考えるきっかけを、コーディネーターはつねに投げかけましょう。

6.異なる立場の人々の言葉を翻訳する
まちづくりで意見の調整が必要な人たちほとんどが、異なる立場・ものの見方をもっている人たちです。普通に会話をしていても、前提が異なっていたり、言葉の定義が違ったりして、噛み合わなかったり、認識に齟齬が生じたりもします。
コーディネーターは、それを前提として、それぞれが伝えたいことや言葉の意味を翻訳することも役割のひとつといえます。

7.自分の「やりたいこと」を最優先にしない
コーディネーターはみんなが何をしたいのか、今あるリソースでどこに向かうべきかというヒントを与える役割ではないかと思います。コーディネーターがプレイヤーでもある場合、自分でやってみたいことを実践してみるのはありだと思います。しかし「やりたいこと」が先走ってしまうと、周りがついてこないこともあります。コーディネーターとしての役割も自覚しながら、全体のバランスを取ることも意識しましょう。

8.意思をもつ
前述の7と相反しているようですが、じゃあみんながやりたいことをやりましょう、では収集がつきません。ただ単に周りの人の意見を調整して回るだけでは御用聞きで終わってしまいます。
自分はどういうスタンスでそこに関わっているのか、また活動をどういう方向に導くべきなのか。コーディネーターとしての意志をもちましょう。


9.自分の得意分野を持つ
前述したように、コーディネーターという役割にはお金がつきづらいのが現状です。しかしながら、継続的にコーディネートしていける人材がまちづくりには必要です。コーディネーターがきちんと対価を得ながら、仕事として関わっていくにはどうしたらいいのでしょうか。
これまで私が観察してきた中でいうと、コーディネーターの役割を果たす人は、それぞれに自分の専門性や得意分野をもちながら、そこを基軸にコミュニケーションを図ったり、周りの人たちをモチベートしていくことが多いように思います。またその人がどういうことができる人で、どういう関わり方をしているのかが明確であるほうが、周囲に受け入れられやすくなります。

コーディネーターは、わざわざ自分で「コーディネーターだ」と名乗る必要はありません。でも、見ているひとからは、あぁこの人が調整役をしてくれているんだな、ということが見えているはずです。
この条件は必須ではないですが、本業+@でコーディネーターの役割を担えると、きちんと仕事として関わり続けられるので周りが頼みやすく、持続性があるともいえます。


10.信頼関係を積み重ねる
ひとつひとつの信頼を積み重ねること。これが一番大事だと思います。
コーディネーターを担う上では、まわりとの信頼関係がなければ成り立たちません。一朝一夕で成立するものではないので、ひとつひとつの行動のなかで積み上げていきましょう。
人を大事にする、相手を思いやる、誠実に対応するという当たり前のことを積み重ねることが大切だと思います。

まとめ

コーディネーター役の振る舞いがまちづくりプロジェクト成功の鍵をにぎっているといっても過言ではありません。どんな地域や場にも、コーディネートスキルのある人が1人いるといいなぁといつも思います。

私も全てが常にできているかというとそうではなく、今日はこういうところが疎かになってしまったな・・・と反省することがよくあります。我が身を振り返りながら、記事を書きました。

ここに挙げたのは、あくまで一部の要素であり、すべてではありません。こんなのもあるよね〜というご意見もお待ちしております!ぜひコメントください!

今回はスタンス的なことを書きましたが、まちづくりコーディネーターとしてあると良い技術や専門性(例えばワークショップ設計やファシリテートスキル、合意形成のためのプロセスづくりなど)を身につけることも必要となります。

この記事を書きながら、これまで現場で体感してきたことを体系立ててみて、今後講座などを開催してみたいと思います!
ベータ版に付き合ってくださる方がいればぜひお声かけください。笑

それでは!

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株式会社Groove Designs代表取締役 シビックエンパワーメントを核として、都市デザイン・地域主体のまちづくりプロジェクトを支援しています/シティラボ東京@京橋(東京)も運営してます
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