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本日の読書 #018 「言葉に手垢が付く時代」
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参考書籍:『教養を磨く』 田坂広志
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第二章 科学と宗教の対立を超えて より
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言葉に「手垢」が付く時代。
著者によれば、「永遠の」「愛する」「魂の」などといった「香りのある言葉」は、コマーシャリズム全盛の現代において安易なキャッチフレーズに多用されたことにより、
本来それをキレイなまま使っていた詩人たちが、使うのを憚られるようになってしまったのだという。
これを聞いて、私には思い起こされる一つの印象的な言葉がある。
それは私が思春期の真っ只中だった2002年。
槇原敬之さんが作詞してSMAPが歌った『世界に一つだけの花』が、空前のブームとなった。
「ナンバーワンよりオンリーワンを」という言葉は使いやすく、
私たちはこれ以降、幾度となく、至るところでこれを聞かされることとなった。
部活動でも、テレビでも、地域の寄り合いでも、校長の講話でも。
結果、この「オンリーワン」という言葉はそのキレイな意味を失い、
誰もがこの言葉からは何も感じなくなっていった。
まさに「香りのある言葉に手垢が付いた」状態だ。
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それから更に幾ばくかが経過して、「一億総発信時代」などと呼ばれるようになった今、もはや手垢が付いていない言葉を探すほうが難しいだろう。
いま、「noteの書き方」で記事検索すると9000件がヒットするように、
自分が発信する情報のほとんどは「n番煎じ」になるということだ。
そんな中で「手垢の付いていない自分だけの言葉」を見付けることが可能だろうか。
可能だ。
著者は、そのためには語る言葉に「重み」を備えることが重要だと述べる。
そしてその重みとは背負ってきた「体験の重み」であると。
自分の体験である一次情報を知識に付加することで、言葉はまた芳しい香りを取り戻す。
きっとそういうことなんだろう。
言葉を語るとき、それが、単に何かの「書物」で学んだ言葉なのか、自身の「体験」を通じて掴んだ言葉なのか。そのことを意識しながら、言葉を語る修業を続けることである。
これからも「本を読んだこと」自体ではなく、「それを自分はどのように吸収したか」「どうしていくのか」を大切にして発信していきたい。
それが「オンリーワン」になるための着実な一歩だ。
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