答えはひとつではない

デザインについて、たまに正解かどうかを聞かれることがある。特に、いくつか提案した際にどのデザインが正解なのか分からないということを、そのデザインを提案した本人に聞かれる。答えはどれも正しい(と信じる)となる。

「デザインされたもの」は、あらゆる情報、状況、条件を検討し、デザインをしなければならない理由から、そのデザインを成した結果の効果までを熟慮して、様々な可能性のなかから「今ある何らかの問題」を解決するための「ひとつの手段」として実施される。

難しい言い回しになったけど、要はデザインをする(しなければならない)ということは、何らかの問題があり、その問題を解決するためには色々やるべきことがあるし、そのなかのひとつとしてデザインがあるということ。

例えば、ある商品が今ひとつ売れ行きが伸び悩んでいる場合。その原因は様々。

・競合他社が類似商品を新たに発売した
・CMに起用していたタレントが不祥事を起こした
・ロングラン商品でパッケージが発売から変わっていない
・原材料となる食材のブームが去った
・大手販売店が買収された

など、その元となる要因は様々。

上記以外にも、営業が新たな販売先を把握、開拓できていないということや、商品のターゲットがズレてしまっている事に気づいていないとか、見えない原因が隠れていたりすることも。

なので、単にデザインを一新してもまったく効果がない場合もあったりするのが怖いところ。ついパッケージを刷新!とかいう話になりがちだけど、企業からのオリエンシートだけを読んで、そのまま言うとおりの模範解答的デザインをしていると大コケふするなんてこともありえるし。。

まずは、「なぜデザインが必要なのか」を問うことが大切。そして商品のデザインを新しく、良くしただけでは売れないことを知り、販売体制や営業方法の変革、広報・販促も含めて全体をデザインしていくことを常に考え、そういう根底からの提案を心掛けることが大切。

で、そんな様々なことを踏まえた結果のデザインは、そりゃ「ひとつ」では無いことは分かっていただけると思うし、そこまで考えて時間を掛けたデザインに「どれがいい?」と聞かれたら「全部!」になるし、「最低5案はください」なんてことができないことも理解していただけるのではないでしょうか。