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【折々のギフト 令和6年8月号】カスハラ・困ったお客さまたち②

百貨店のクレームには大きく商品・サービス・環境の三つの原因がある。
商品・サービスは売場や販促での営業が責任で、環境は設備や施設など後方部門が受け持つ。
営業においては事前の企画や販促訴求に注意し、商品はバイヤーが、販売サービスはセールスマネジャーが瑕疵の無いように努める。しかしながら、完全完璧は無いので必ずクレームや苦情が発生して対応がせまられる。

本来、クレームとは商品を正しくお客様のご満足状態でお渡しできないことを言う。
苦情とはサービス上のご不満で、人的なミスや環境的な不備を指摘されるケースである。
ここではまとめてクレームとして、その対応で起きた経験を述べてみる。

百貨店のクレーム対応のほとんどは商圏の中で発生するが、ギフトや遠方のお客様はその限りではない。全国どこでも同じ対応をするのが基本である。

札幌にお住いのお客様が上京し、新宿のデパートで和食器をお買い物された。その後、色具合が気に入らないとクレームがきて、何度か電話でやり取りをするが埒が明かない。結局、商品の状態の確認と返金対応も兼ねて日帰りで札幌まで行かざるを得なかった。こんなときの基本は、お詫びの菓子折り等を持参することが百貨店の常である。東京は意外と名産品が少ない。通常ならお詫びの定番は誰にでも好かれる『ヨックモック』である。ただ、癖のありそうなご年配の婦人だったので、何か東京らしい気の利いたものを選ぼうと商品を選んだ。『銀座ウエスト』や『六本木クローバー』も候補だが、新宿らしいお菓子と思い、日本一高い/日本一うまいと宣伝の『花園饅頭』の銘菓【ぬれ甘なつと】を持参した。
交渉の結果は、商品に大きな瑕疵はなく、返金にも応じてくれなかった。困ったお客さまの要求は値引きだった。北海道でお詫びとは菓子折りではなく値引きが常識であるとの主張だった。「わかりました。帰って上司と相談します。」と言って、寂しく千歳から羽田に戻り新宿のデパートに戻った。待ち構えていた上司は、「お客さまから連絡があり、対応の不手際を指摘された!」と言われた。加えて、「納豆を持ってきた!と言われたが、お前は何を持って行ったのだぁ!!」と叱られた。一日の疲れがどっと出た瞬間である。
その日からクレームのお詫びの品は『ヨックモック』が私の信条となった。

クレームの話では無いが、お土産選びは重要なポイントだ。
和食器のバイヤーをしていた時のこと。ある有名な陶芸家にご挨拶と商談にいくこととなった。出張前の忙しさで、気の利く部下にお土産のお菓子を地下で買ってくるように指示した。新幹線の時間が差し迫り、さあ出発と紙袋を持って中身を確認すると包装紙には大きく『がんこ職人』と書いてあった。冷汗が出た。
陶芸家の大先生に喧嘩売りにいくようなものだ。部下も気が付いて、慌てて二人で地下の売場の『ヨックモック』に駆け込んだ。

人から人への贈り物にはいろいろな意味が込められるので品物選びは要注意です。


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