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【清水由起のデータから読み解くギフト事情 vol.8】「LINEギフト」の登場で個人間利用も急拡大急成長を遂げるソーシャルギフト(e-Gift)


新たなギフト贈呈方法としてコロナ禍に認知拡大

近年、ECでギフトを販売するサイトがこぞって注力しているのが、SNSやメールを通してギフトを贈ることができるソーシャルギフト(e-Gift)である。
贈り手がオンライン上でギフトを購入し、メールやSNSでIDやURL、QRコードがついたメッセージを受け手に知らせることで、受け手自身が住所を入力してギフトを受け取ることができる「郵送型」、QRコード等を店頭で提示することでコンビニやカフェなどで利用できる「店頭受け取り型」、Amazonギフト券やQUOカードPayなどに代表される電子マネー等のバリューを受け取る「デジタルギフト型」などが存在する。

ソーシャルギフト(e-Gift)の市場はここ数年で劇的に伸長している。リアルからネットへのDX化との親和性が高いこと、“非接触”に対応したサービスであること、商品券・ギフトカード等の金券マーケットの需要の一部を継続して取り込んでいること、これまで失われてきたギフト贈呈機会を手軽さによって拾い上げていること、低単価アイテムだけでなく高単価アイテムの需要も伸長していること、パーソナルギフトでの利用が急速に拡大していることを理由に、人々にとっても新たなギフト贈呈方法として認知が広がりつつある。

販促での法人利用から個人間利用への拡がりで単価UP

従来のソーシャルギフト(e-Gift)は非対面で贈るギフトという性質上、法人利用・個人利用ともに、コンビニ菓子やカフェなど、スモールギフトとされる店舗受け取り型の低単価商品が主力で、中心価格帯は100円~1,000円未満であった。
これは、最大のメリットである管理のしやすさ(在庫不要、受け手の住所不要、商品配送不要、等)から気軽に利用しやすいため、法人による販促や、個人間においても日常のちょっとしたお礼などで利用されるケースが多かったためである。

しかしコロナ禍を経て、昨今は配送型を中心とした高価格帯のアイテムが、誕生日やシーズンギフトなどのシーンで広く利用されるようになってきた。カタログギフト大手でも続々とソーシャルギフト(e-Gift)サービスの展開を始めており、結婚式の引出物や香典返しなど、フォーマルギフトにおいても順調にニーズを取り込んでいる。様々な事業者がソーシャルギフト(e-Gift)に可能性を見出し参入したことで商品も多岐にわたるようになり、消費者がソーシャルギフト(e-Gift)で高単価なギフトを贈ることや受け取ることへの抵抗感が薄れ、必然的に価格帯の幅も拡がっている。

なお、個人間での利用が大躍進している背景には、2015年4月にチャットアプリ・SNS大手であり、多くの消費者がメッセージ機能として活用するLINEが、「LINEギフト」を開始したことが大きい。近年ではラグジュアリーブランドが期間限定でLINEギフトに出店するなど、明らかに取扱商品の幅が拡がっており、もはや平均単価では同サービスの実情を語ることができなくなっている。

利用シーンはまだまだ拡大する伸びしろマーケット

しかし、弊社(矢野経済研究所)が一般消費者に対して実施したアンケート調査結果によると、ソーシャルギフトを受け取ったことも贈ったことも「ない」という人は約7割存在しており、実際の利用者は未だ一部のみに限られている。

逆を返せば、まだまだ伸びしろだらけのマーケットであるともいえる。それを表すように、セールスキャンペーンや従業員向けギフトなどでは、新たなソーシャルギフト(e-Gift)の機会が次々と生まれている。また、少子化対策として自治体による住民向けギフト(出産祝い、子育て支援ギフト等)が増加傾向であるが、そこでもオペレーションが容易なソーシャルギフト(e-Gift)の利用が拡がっている。


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