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【解説】第5話 女性の選択肢は無限なのにゃ!

まとめ本に収録した各トピックの解説を掲載

このトピックでは大きく3つのテーマを扱っています。1つは研究と実験はイコールではないということ。2つ目は大学院教育を受けて修士や博士を持っていると選択の幅が広がるということ。3つ目はテクニシャンという職種の紹介です。

「勉強と研究」のギャップと同じように「実験と研究」のギャップもあります。実験系の研究者にとって何かが明らかになる様を見ることができる実験は楽しいものです。自分の仮説通りの結果が出ると嬉しくなるし、まったく違う結果が出れば興奮します。しかし、研究とはその後に控えている論文執筆とセットなわけです。論文は自分の研究をロジカルにまとめる作業で一般的には英語で書きます。それなりにハードな作業です。実験は好きだけど論文は書きたくないという話は良く聞きます。第3話でも解説しましたが研究とは全てを指す言葉であり、「勉強」や「実験」といった一つの構成要素を指すものではないのです。つまり、全部やって研究者ということになります。

ただ、実験系の研究に関しては実験を専門にする仕事があります。それがテクニシャンです。

実験と一言でいっても色々なレベルがあります。研究室内の洗い物や実験に必要な試薬を準備するといった簡単な作業から、専門機器の運営メンテナンスを行う人もいます。後者に関しては大学や施設の専門職として正規雇用されていることが多いです。大学の技官(就職時に大学法人を受ける)がそれに相当します。いずれも大学院などで専門教育を受けているとアドバンテージになりますが、研究職のように博士を持っていることは必須にならないため、どのような学歴の人でも実験を仕事にすることができます。私が長い間お世話になっているテクニシャンは理系とは全く関係ない専門学校が最終学歴ですが、バリバリ実験しています。

第5話の段階で私は「女性は教授を目指すこともできるし、専門性を活かしてテクニシャンとして働くこともできるし、色々選べますよ~」と安易に紹介しています。一般的に選択肢が広いことは良いことです。しかし、この後のトピックで、色々選べてしまう文化的背景が博士を持つ女性研究者を苦しめることになることにも言及していきます。
 
このトピックはテクニシャンという仕事の紹介なので、そういう仕事があること、必ずしも大学や大学院を卒業していることが必須でないことを広めたいです。こういう職があることは大学の外ではあまり知られていないため人材の確保が難しいのが現状です。(特に地方では・・・)


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