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【解説】第8話 研究室レンアイには気をつけるにゃ!

まとめ本に収録した各トピックの解説の全文を掲載

学生のころ、パートタイムで実験業務を行っている女性博士を見て、テクニシャンになるなら博士を取る必要はないのに!と感じていました。そういう女性が多いから私たち女子学生が先生達から下に見られるんだ!と恨みすら抱いていました。私の出身研究室は女性の博士学生は取らない主義だったからです。(私はそういうラボで初めて博士を取った女性なのですが、何度も進学を反対されたり、研究成果を他の研究者に渡すように言われました。)
 
自分が長く研究を続けていく過程で、ようやく彼女達がどのような思いで「諦めた」のか理解するに至りました。ただ研究が好きで趣味で博士課程に進むわけではありません。それなりに将来のビジョンを持ち、研究者になるために大きな壁を乗り越えて博士になるのです。さまざまな理由でそれが続けられないと分かった時、これまでのキャリアを活かした仕事をすることは自然なことだと思えるようになりました。
 
さまざまな理由の一つがキャリア形成と出産子育ての時期がオーバーラップすることです。子育てしながら研究すること自体は大きな問題にならないのですが、任期付雇用があたり前のこのご時世、移動が多いのです。また、女性と比べて男性の方が出世が早いため、給料が高く安定している方が移動すると、よっぽどしっかりしたポジションでない限り着いて行くという選択を取らざるを得ません。
 
「任期がある」「移動が多い」この2つのファクターがキャリアを継続させにくくしているように感じます。
 
研究をずっと続けている先輩女性研究者を思い浮かべて「どうして続けて行けたのか?」と考えると、多くの場合、任期無しの時代にポジションを取っている人が多いです。任期付き雇用の今の時代、その任期を乗り越えキャリアを繋げPIになる女性研究者が生まれるのはこれからなのだと思います。



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